PSMAリガンド療法(177Lu-PSMA-617を用いた核医学治療:プルビクト®)について
前立腺がんに対する新しい放射線治療が保険適応となりました。当院においては2026年2月3日より、静岡県において初めて(東海地方では2番目)PSMAリガンド療法(プルビクト®)を導入開始しております。
| 対象:①去勢抵抗性前立腺癌である ②転移がある ③新規内分泌治療薬を1剤以上使用している ④ガリアファーム®を使用したPSMA-PETが陽性である |
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1. 治療の仕組みとメカニズム
- 標的攻撃: 前立腺がんの表面に多く発現している 「前立腺特異的膜抗原(PSMA)に結合する物質」(リガンド)と放射性物質である「ルテチウム-177(177Lu)」が結合しているお薬を点滴にて投与します。
- 放射線照射: お薬が前立腺がんに結合すると放出される放射線(ベータ(β)線)が、周囲の正常組織への影響を抑えつつ、がん細胞を局所的に直接攻撃します。
- 先行のPET検査: 治療前にPET検査(68Ga-PSMA)を行い、PSMAが陽性であることを確認した上で治療を行います。PSMAが陰性の場合は治療適応となりません(お薬ががんに結合することなく体外に流れ出てしまうため)

2. 臨床的効果
主要な臨床試験において「化学療法未治療」「化学療法既治療」の療法に病勢進行の抑制が確認されています。
- 効果の予測因子: 治療前のPET検査にて陽性の部位が多いほど、より高い治療効果が得られる傾向にあります。

3. 安全性と副作用
全体として良好な安全性が報告されていますが、以下の点に注意が必要です。
- 主な副作用: 最も頻度の高い有害事象は「口内乾燥(ドライマウス)」であり、他に「疲労」、「吐き気(悪心)」、「貧血」などが報告されています。

4.治療の流れ
- PET検査にて本治療の適応を確認します。当院ではPET検査ができないためご紹介いただく際は主治医と相談の上、先にPET検査を済ませてからご紹介ください。
- 入院は1泊2日を予定していますが、体外に放出される放射線の量が既定値以下にならない場合は入院期間が伸びる場合があります。
- 体外に放射線が放出されるため、入院中は「放射線管理区域」として指定された部屋の中で過ごしていただきます(退院まで室外に出ることはできません)。
- また入院中の身の回りのことや排泄の処理・薬の管理をご自身で行っていただく必要があります(そのため認知性のある方は治療の適応となりません)。
- 放射線性物質の処理(排泄物や汚染物質)の問題や施設の問題で治療可能人数に限りがあるため、治療開始をお待ちいただく場合がございます。

5.退院後の注意点
- 放射線防護: 投与後は体外に放射線が放出されているため、周囲の人々(家族や公衆)の被ばくを避けるための生活上の制限(トイレの洗浄、接触制限など)が設けられています。

6.紹介の方法
泌尿器科主治医先生におかれましては、以下の手順でご紹介いただけますようお願い申し上げます。
- STEP 1:適応確認 「PSMAリガンド療法適応確認用チェックリスト」にて、適応の有無をご確認ください。
- STEP 2:PSMA-PET検査 ガリアファームによるPSMA-PET検査を施行し、陽性であることをご確認ください(保険適応の関係上、ガリアファームを用いた検査に限ります)。
- STEP 3:地域連携室への電話予約 地域連携室 直通:053-451-2760(「PSMAリガンド療法外来」予約係) お電話の際、紹介状とチェックリストの内容を照合させていただきます。精査のため、回答までにお時間をいただく場合がございます。
※重要: 予約トラブル防止のため、患者さん個人からの予約申込は承っておりません。必ず医療機関を通じたお手続きをお願いいたします。