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ホーム >  メディカルバースセンター めばえ >  妊産婦さんへの新型コロナウイルスワクチン(mRNAワクチン)Q&A

妊産婦さんへの新型コロナウイルスワクチン(mRNAワクチン)Q&A


ページ内目次


Q1.ワクチンで不妊になることはありますか?これから妊娠を考えているのですが、mRNAワクチンを接種しても⼤丈夫でしょうか?

A1.新型コロナウイルスワクチン(mRNAワクチン) で不妊になるという科学的な根拠は全くありません。

(解説)
既存のワクチンでも、接種によって不妊となった例はありません。mRNA ワクチンを接種した後に、その成分が体内でどのように拡散するか調べるために、放射性同位元素でラベルしたmRNA ワクチンをラットに接種した実験では、接種したワクチンはほとんど卵巣には到達しません(全体の0.095%以下)。接種したワクチンの多くは接種した局所に留まり、接種部位外では肝臓に多く集まりました(接種した量の約18%)[1]。ラットにmRNA ワクチンを接種した後に交配し、妊娠させた実験でも、ワクチン接種群と⾮接種群で妊娠率、⾚ちゃんの数に差はありませんでした[2]。また、ヒトでもワクチンの臨床試験中に妊娠した⽅や、着床前にワクチンを接種して問題なく妊娠が継続した⽅もいらっしゃいます[3]


参考⽂献
1. SARS-CoV-2 mRNA Vaccine (BNT162, PF-07302048) 2.6.4 薬物動態試験の概要⽂
https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_I100_1.pdf

2. Bowman, C.J., et al., Lack of effects on female fertility and prenatal and postnatal offspring development in rats with BNT162b2, a mRNA-based COVID-19 vaccine. Reprod Toxicol,2021. 103: p. 28-35.

3. Shimabukuro, T.T., et al., Preliminary Findings of mRNA Covid-19 Vaccine Safety in Pregnant Persons. N Engl J Med, 2021. 384(24): p. 2273-2282.

Q2.妊娠中の⼥性はmRNAワクチンを接種しても⼤丈夫でしょうか?流産することはありますか?

A2.妊娠中の⼥性でもmRNAワクチンを接種して⼤丈夫です。すでに多くの接種経験のある海外の妊婦に対するワクチン接種に関する情報では、妊娠初期を含め妊婦さんとおなかの⾚ちゃん双⽅を守るとされています。また、お⺟さんや⾚ちゃんに流産などの何らかの重篤な合併症が発⽣したとする報告もありません。


(解説)
妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、特に後期の感染ではわずかですが重症化しやすいとされています。⼀般に、このワクチンを接種することのメリットが、デメリットを上回ると考えられていますので、特に感染の多い地域や感染のリスクの⾼い医療従事者等や、糖尿病、⾼⾎圧、気管⽀喘息などの基礎疾患を合併している⽅は、ぜひ接種をご検討ください[4]。アメリカで新型コロナウイルスワクチン(mRNA ワクチン)の接種を受けた35,691 ⼈の妊婦さんについての調査によると、発熱や倦怠感などの副反応の頻度は妊娠していない⼥性と同程度でした。また、ワクチンを接種した後に妊娠を完了した827⼈のデータによると、流産、早産、胎児の発育遅延、先天奇形、新⽣児死亡が起きる確率は、ワクチンを接種していない妊婦さんと変わりませんでした[3]。イギリスからもワクチンを接種した妊婦さんと接種していない妊婦さんの流産率は変わらないとの報告があります[5]


参考⽂献
4. ⽇本産科婦⼈科学会 ⽇本産婦⼈科医会 ⽇本産婦⼈科感染症学会, 妊産婦のみなさまへ 新型コロナウイルスワクチンについて.
⽇本産科婦⼈科学会
http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=10
⽇本産婦⼈科医会
http://www.jaog.or.jp/covid/
⽇本産婦⼈科感染症学会
http://jsidog.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=114274

5. Male, V., Are COVID-19 vaccines safe in pregnancy? Nat Rev Immunol, 2021. 21(4): p. 200-201.

Q3.不妊治療中ですがワクチンを接種できますか?

A3.不妊治療中の⽅も、接種できます。接種後は発熱などの副反応があることがありますので、可能であれば妊娠前の接種をご検討ください。

Q4.妊娠のいつの時期に接種した⽅がいいのでしょうか?

A4.いつの時期でも接種可能です。⼼配な⽅は器官形成期(妊娠12 週まで)を避けることをお勧めしていますが、現時点で明らかなワクチンによる催奇形性(胎児に奇形が起きること)の報告はありません。また、地域の流⾏状況にもよりますので、主治医にご相談ください。

Q5.妊娠中にワクチンを接種して、熱が出たらどうしたらいいですか?

A5.アセトアミノフェン(カロナール®など)は服⽤して構いません。その他の解熱鎮痛剤は妊娠中に服⽤を避けたほうがいいものもありますので、主治医にご相談ください。

Q6.出産等でmRNAワクチンの接種間隔が延びてしまいそうです。⼤丈夫でしょうか?

A6.接種間隔が延びても問題ありません。

(解説)
新型コロナウイルスワクチンは3 週間(ファイザー社)もしくは4 週間(モデルナ社)の間隔を開けて2 回接種することになっています。しかし、出産などで、接種間隔が⽌むを得ずあいてしまうこともあります。接種が可能になりましたら、なるべく早く2 回⽬の接種を受けてください。なお、標準の接種間隔を超えた場合の効果は⼗分に検証されていませんが、WHO、⽶国やEUの⼀部の国では、接種間隔が延びてしまった場合でも、1 回⽬から6 週間以内に2 回⽬の接種をすることを⽬安として⽰しています。

Q7.妊娠⾼⾎圧症候群、妊娠糖尿病などの合併症がある場合でも、接種しても⼤丈夫でしょうか?

A7.患者さんにより合併症の状況が異なりますので、事前に産婦⼈科の主治医にご相談ください。⼀般的に、合併症があると、COVID-19 が重症化するリスクが⾼くなります。したがって、可能であれば接種することをご検討ください。

Q8.妊娠中にmRNAワクチンを接種すると⾚ちゃんに免疫が移⾏しますか?

A8.抗体が胎盤を通って、⾚ちゃんに移⾏するので、産後に⾚ちゃんを感染から守る効果が期待できます [6]


参考⽂献
6. Beharier, O., et al., Efficient maternal to neonatal transfer of antibodies against SARS-CoV-2 and BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccine. J Clin Invest, 2021. 131(13).

Q9.授乳中の⼥性はmRNAワクチンを接種できますか?ワクチンを接種したらミルク(⼈⼯乳)に変更した⽅がよいですか?⺟乳から⾚ちゃんに免疫が移⾏しますか?

A9.接種できます。mRNAワクチンを接種したことを理由にミルク(⼈⼯乳)に変更する必要はありません。mRNAワクチンは⺟乳中に分泌されませんが、抗体が⺟乳中に分泌されるので、⾚ちゃんを感染から守る効果が期待できます。


(解説)
84 ⼈の授乳中のお⺟さんのmRNA ワクチン接種後の⺟乳を調べた研究では、1 回⽬の接種の2 週間後には61.8%、2 回⽬の接種の1 週間後では86.1%の⺟乳中に抗体が検出されました[7]


参考⽂献
7. Perl, S.H., et al., SARS-CoV-2-Specific Antibodies in Breast Milk After COVID-19 Vaccination of Breastfeeding Women. JAMA, 2021. 325(19): p. 2013-2014.

Q10.mRNAワクチンが⼥性の健康に⻑期的な影響を与える可能性はありますか?

A10.投与されたmRNAは短期間に分解され、接種されたヒトの遺伝⼦に⼊ることはないので、⻑期的な影響はないと考えられています。

Q11.⽣理中にmRNAワクチンを接種してもいいでしょうか?

A11.⽣理中にmRNAワクチンを接種してもいいでしょうか?問題ありません。⽣理痛に対し、痛み⽌めの薬を飲んでいる⽅は、mRNAワクチンの
接種後の痛みや発熱に対して解熱鎮痛剤を飲む場合には同じような内容の薬を飲むことになりますので、薬の量が過剰にならないように気をつけてください。

Q12.mRNAワクチンで⽉経不順や経⾎量が増えることはありますか?

A12.mRNAワクチンが直接的に⽉経(⽣理)に影響を与えることはありません。副反応のストレスや、発熱などがあった場合、その影響で⽉経がずれたり、量が変化したりすることがあるかもしれません。

Q13.経⼝避妊薬を飲んでいてもmRNAワクチンを打つことができますか?

A13.ワクチンを打つことができます。mRNAワクチンにより⾎栓ができるとの報告はありません。⼼配な場合には主治医とご相談ください。

Q14.ワクチン接種者に近寄ると感染すると聞きました。これは本当ですか?

A14.本当ではありません。
ワクチンにはウイルスのメッセンジャーRNA(mRNA)の⼀部のみが含まれていますので、感染⼒のあるウイルスが接種者から放出されることはありません。

Q15.ワクチンの成分や接種後にできる抗体が胎盤を攻撃すると聞きました。これは本当ですか?

A15.本当ではありません。ワクチンの成分や接種後にできる抗体が胎盤を攻撃することはありません。

(解説)
ファイザー社の元社員が、「胎盤を形成するシンシチン-1 という蛋⽩とスパイク蛋⽩が似ているため、スパイク蛋⽩の抗体がシンシチン-1 も攻撃する」と主張しました。しかし、スパイク蛋⽩の抗体が反応する部分のアミノ酸の配列とシンシチン-1 のアミノ酸配列は似ているところが少ないことがわかりました。また、実際にそのような反応が起きたことは確認されていません。