呼吸器外科
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診療科の特徴
呼吸器センター長 兼 手術センター長 兼
呼吸器外科部長
朝井 克之
最近は、糖尿病、心疾患、脳血管障害、腎・肝障害等の合併症を有する患者さん、また高齢の患者さんの手術も増加しており、関係科と連携をとりながらバランスのとれた診療を行います。最も重要な手術適応については、患者さんごとに手術によるメリット、デメリットを十分に評価し、患者さん、ご家族と十分に話し合ったうえで判断します。手術は胸腔鏡を多用しできるだけ低侵襲であるように心がけています。2020年8月ダ・ヴィンチ(da Vinci Surgical System)を用いたロボット支援胸腔鏡手術を開始しました。
原発性肺癌
原発性肺癌では、PET-CTを用いた正確な術前病期診断および心肺機能評価を行い、適切な肺切除量およびリンパ節の郭清範囲を決定します。原発性肺癌の標準術式は肺葉切除+縦隔リンパ節郭清ですが、早期の肺癌では縮小手術(肺区域切除、肺部分切除)を行うこともあります。逆に局所進行肺癌に対しては、癌病巣が浸潤している周囲の臓器も合併切除したり、より広範囲のリンパ節を郭清する拡大手術も行います。また呼吸器内科、放射線科と連携し、薬物療法・放射線治療・手術を組み合わせた集学的治療も行っています。手術は、完全胸腔鏡下または、胸腔鏡補助下に腋の下の小開胸で行うことがほとんどですが、肺葉切除についてはロボット支援胸腔鏡下手術を第1選択としています。必要であれば術後に、補助化学療法を行います。また肺癌等の悪性腫瘍による気管、気管支の狭窄に対してはステント留置も行っています。
転移性肺腫瘍
大腸癌等、他臓器の癌が肺に転移した状態です。原発性肺癌と異なり標準術式は、肺部分切除です。しかし、病変の部位、数によっては肺区域切除や肺葉切除を要することもあります。転移巣が複数で左右に存在する場合には、二期的に切除することもあります。可能な限り肺機能を温存した手術を行います。
縦隔腫瘍
縦隔とは、左右の肺に挟まれた部位で、心臓、大血管、気管、食道、神経、胸腺等の重要な臓器が存在します。肺の腫瘍に比べ少ないのですが、この縦隔には、良性から悪性まで様々な腫瘍が発生します。頻度が高いのは、胸腺腫、嚢胞、神経原性腫瘍です。疾患により経過観察でよいものから、手術を要するものまで様々です。手術はロボット支援を含む胸腔鏡下、肋間開胸、胸骨正中切開、あるいはこれらの組み合わせで最も適したアプローチを選択します。
自然気胸
若年者の自然気胸(肺嚢胞のパンク)は、良性疾患ですが再発しやすいという特徴があります。手術は再発時に行うことが一般的ですが、肺から空気漏れが持続するときや、出血を伴うとき等には手術が必要です。また患者さんが受験生の場合など、再発予防のため初発時でも手術を行う事があります。手術は3カ所の穴を用い、胸腔鏡下肺嚢胞切除を行い、術後再発予防のために切除部周囲を吸収性フェルトで被覆しています。入院期間は術後2~3日間です。高齢者の自然気胸の場合には、肺気腫(タバコ病)を有していることが多く、他の併存疾患も考慮の上、手術適応および術式を決定しています。
原発性肺癌
転移性肺腫瘍
肺良性疾患(良性腫瘍、炎症性腫瘤、肺分画症等)
縦隔腫瘍(胸腺腫、神経原性腫瘍等)
胸膜腫瘍(悪性胸膜中皮腫等)
胸壁腫瘍
転移性肺腫瘍
肺良性疾患(良性腫瘍、炎症性腫瘤、肺分画症等)
縦隔腫瘍(胸腺腫、神経原性腫瘍等)
胸膜腫瘍(悪性胸膜中皮腫等)
胸壁腫瘍
自然気胸
巨大肺嚢胞
膿胸
間質性肺炎(外科的生検)
重症筋無力症(胸腺全摘)
胸部外傷
巨大肺嚢胞
膿胸
間質性肺炎(外科的生検)
重症筋無力症(胸腺全摘)
胸部外傷
診療科の枠を超えたチーム体制で、最新の肺がん治療に挑む
浜松医療センターでは肺がんの専門外来を設置し、日本臨床腫瘍学会が認定する がん薬物治療専門医(指導医)を中心としたチーム体制で肺がん治療を行っています。 内科や外科の枠を超えたカンファレンスを行い、患者さん毎に最も適した治療を選択する方針としています。 内科ではがん遺伝子検査を併用した診断、外科では手術支援ロボットダ・ヴィンチによる手術も採用しています。 必要に応じて放射線治療や、抗がん剤治療、免疫療法、分子標的薬、併用療法なども可能です。 患者さんのがん治療と就労の両立支援にもチームを作って対応しております。
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医師紹介
朝井 克之(あさい かつゆき)
呼吸器センター長 兼 手術センター長 兼 科部長
専門分野
呼吸器外科
呼吸器外科
資格等
呼吸器外科専門医
日本外科学会:外科専門医・指導医
日本胸部外科学会:認定医・指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
呼吸器外科専門医
日本外科学会:外科専門医・指導医
日本胸部外科学会:認定医・指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
略歴
卒業大学名 | 浜松医科大学 |
免許取得年 | 平成4年 |
水野 潔道(みずの きよみち)
副医長
専門分野
呼吸器外科
呼吸器外科
資格等
呼吸器外科専門医
日本外科学会外科専門医
Certificate of davinci console surgeon
がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会
呼吸器外科専門医
日本外科学会外科専門医
Certificate of davinci console surgeon
がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会
略歴
卒業大学名 | 浜松医科大学 |
免許取得年 | 平成22年 |
鈴木 一也 (すずき かずや)
非常勤
資格等
専門医:日本呼吸器外科学会・日本外科学会
認定医:日本外科学会・日本胸部外科学会
指導医:日本呼吸器外科学会・日本外科学会・日本胸部外科学会
評議員:日本内視鏡外科学会・日本気胸・嚢胞性肺疾患学会、日本肺癌学会・日本臨床外科学会
日本禁煙学会アドバイザー
専門医:日本呼吸器外科学会・日本外科学会
認定医:日本外科学会・日本胸部外科学会
指導医:日本呼吸器外科学会・日本外科学会・日本胸部外科学会
評議員:日本内視鏡外科学会・日本気胸・嚢胞性肺疾患学会、日本肺癌学会・日本臨床外科学会
日本禁煙学会アドバイザー
略歴
卒業大学名 | 浜松医科大学 |
免許取得年 | 昭和55年 |
実績(令和3年1月から12月)
原発性肺癌 | 40例(うちロボット支援下手術12例) |
転移性肺腫瘍 | 10例 |
縦隔腫瘍 | 5例(うちロボット支援下手術5例) |
気胸/肺嚢胞 | 21例 |
その他 | 29例 |
合計 | 105例 |