グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  診療科・部門 >  感染症内科 >  新型コロナウイルスQ&A

新型コロナウイルスQ&A


院長補佐 兼 感染症内科部長 兼
医療安全推進室長 兼 衛生管理室長
 矢野 邦夫

全世界で新型コロナウイルス流行しており、新型コロナウイルスに関する疑問や不安を感じていることと思います。
当院院長補佐・感染症内科部長矢野邦夫が、患者の皆さまの疑問や不安に対し、Q&A形式で回答しています。

ページ内目次


Q1. 新型コロナウイルスはどのようにして、人から人に感染するのでしょうか?

A1. 感染者が咳やくしゃみをしたときに、鼻や口から飛散する飛沫にウイルスが含まれており、それを周囲(2m以内)にいる人々が吸い込むことによって、感染します。もう一つ大切な伝播経路はドアノブや手すりのような環境表面です。そこは人々が頻回に触れるところなので、感染者の手指も触れます。その手指にはウイルスが付着していることがあり、環境表面に付着させます。ウイルスは環境表面に最大3日程生息できるので、その期間に別の人々が触れれば、手指にウイルスが付着します。そのまま、眼や鼻などの粘膜に手指が触れることによって感染します。

Q2. 新型コロナウイルスに感染したときにはどのような症状がみられるのでしょうか?

A2. 新型コロナウイルス感染症の症状は発熱、乾性咳、倦怠感などです。潜伏期間は5~6日が最も多く、最短で1日、最長で14日です。感染しても80%の患者さんは症状が軽く、酸素治療や人工呼吸器は必要ありません。しかし、15%の患者さんは呼吸困難となり、酸素療法が必要となります。そして、約5%の患者さんは呼吸ができなくなり、ショック状態となり、人工呼吸器などによる集中的な治療が必要となります。
どのような人々が重症となり、死亡するのかというリスク要因もわかってきました。60歳以上の人や基礎疾患(高血圧、糖尿病、心血管疾患、慢性呼吸疾患、癌など)のある人が重症化しやすいです。致死率は年齢とともに高くなり、80歳以上で21.9%と報告されています。一方、小児が感染することは比較的稀であり、感染しても症状は軽度です。
重症患者さんでは、最初に症状がみられてから、呼吸が苦しくなるまでは約5日であり、その2日後に入院が必要となることが多いことが知られています。

Q3. 自宅で受け取った宅配便や配送便の内容物を介して新型コロナウイルスに感染しないでしょうか?

A3. 宅配便や配送便の内容物を介して、感染することはないと思われます。ウイルスは環境表面に最大3日程の生存時間なので、配送時に担当者が内容物に触れてから、宅配便や配送便が自宅に届くまでは3日以上経過していることが殆どだからです。中国や米国など外国からの郵送物であれば、必ず3日は経過しているので、心配ありません。
宅配便や配送便を自宅まで届けてくれる担当者が感染している場合には、表面にウイルスが付着している可能性は残ります。そのため、梱包を開けてから、手洗いすることをお勧めします。

Q4. 遊園地の遊具で子どもが新型コロナウイルスに感染する可能性はありますか?

A4. 遊園地は屋外なので、換気については問題ありません。しかし、多くの子どもが集まる状況であれば、社会的距離を開けることができなくなり感染のリスクは増大します。また、ブランコなどの遊具には子供たちの手指が触れるので、その部分にはウイルスが付着している可能性があります。そのため、遊具で遊んだあとには必ず手洗いをするようにします。遊園地であっても、込み合っているところであれば近寄らないほうがよいでしょう。

Q5. 通学や通勤では満員バスや電車に乗車せざるをえません。ここは3密になると思います。どのようにしたら、良いのでしょうか? マスクを着用すれば大丈夫でしょうか?

A5.マスクを着用しても、感染を防ぐことはできません。「周囲に感染者がいるかもしれないので、その人々の口や鼻から飛散する飛沫を吸い込まないためにマスクを着用する」と考えている人が多いのですが、それは正しくはありません。そのような状況では、マスクの表面がウイルスに汚染しています。通常、マスクを着用している人々は無意識のうちにマスクの表面を頻回に触れます。そのため、手洗いをしなければ、マスクの効果はないのです。感染を予防することを目的としてマスクを着用するのであれば、アルコール手指消毒薬を常に携帯することが大切です。マスクはアルコール手指消毒薬と併用することによって、感染予防の効果が期待できるのです。
それでは、マスク単独は効果がないのかというとそうではありません。「自分が感染者であった場合、自分の口や鼻から飛散する飛沫の量を減らす」という目的としては大変有効なのです。
満員バスや満員電車に乗車せざるを得ない場合にはどのようにしたらよいのでしょうか?マスクを着用し、アルコール手指消毒薬を携帯します。そして、マスクや手すりなどに触れた後には手指を消毒するようにします。これによって、飛沫や環境表面からの感染を防ぐことができます。

Q6.同居家族が新型コロナウイルス感染症にて入院していたのですが、回復して退院しました。その家族から感染しませんか?

A6. 感染することはありません。WHOは「症状が出てから、10日経過し、かつ、症状が消失してから3日経過すれば隔離する必要はない」としています。PCRが陽性であったとしても、それはウイルスの残骸をみているだけであり、生きたウイルスは存在しないからです。そのため、入院していた家族が退院した場合、その方から新型コロナウイルスが感染することはありません。

Q7. 喫煙することは新型コロナウイルスに感染しやすくなりますか?

A7. 喫煙すると、新型コロナウイルスにに感染しやすく、かつ、感染した場合には重症化しやすいことが知られています。まず、喫煙という行為によってウイルスが付着したタバコや手指が口に近づきます。これはリスクの高い行為といえます。また、喫煙するとウイルスが肺細胞に付着する部位が増加します。すなわち、ウイルスが付着しやすい面積が増えるということです。もちろん、喫煙を続けていると、肺疾患を合併したり、肺の機能が低下するので、感染した場合には重症化しやすいのです。

Q8.散歩にゆくときにもマスクは必要ですか?

A8.気温が高くなると、散歩に出かけても、体温が上昇します。そのような状況でマスクを着用していると、マスク内に熱が籠ってしまいます。そのため、散歩などではマスクは着用しないようがよいでしょう。ただし、人々が集まっているところにどうしても入り込まなければならないときには、マスクを着用します。マスクの目的は自分が感染者であった場合に周囲の人々に感染させないことです。そのため、周囲2m以内に誰もいない状況であればマスクを着用する意味がありません。

Q9.夏にマスクを一日中着けていると、ニキビや肌荒れになると思います。どうしたらよいですか?

A9.マスクは毎日、洗濯します。汗などが残った状態で使い続けると、それが刺激となってニキビや接触性皮膚炎となるからです。夏の暑い日は複数枚のマスクを交換してゆくとよいでしょう。寝る前にシャワーを浴びた後には、保湿剤を顔に塗って皮膚を整えます。日中は皮膚は酷使されています。そのため、夜間に皮膚を手入れすることが大切です。万が一、顔に発赤がみられたり、痒くなるようなことがあれば、我慢せずに皮膚科に受診しましょう。

Q10.新型コロナウイルスに感染しないように、高性能マスクを使用したほうがよいですか?

A10. 高性能マスクは病院の結核対策で頻回に使用されるマスクです。これは空気中に浮遊しているウイルスがマスクと顔の皮膚の間の隙間からマスク内に盛り込まないようにするために、ゴムできっちりと密閉するようにデザインされています。これを使用すると、呼吸がとても苦しくなり、10分以上の作業はできません。一般の方々が高性能マスクを着用しているのを見かけることがあるのですが、呼吸が苦しくなるためか、2本あるゴムのうちの1本を取り外しています。これではマスクの意味はありません。
マスクは単独では新型コロナウイルスの感染予防にはなりません。手指消毒との併用によって感染予防の効果がでてきます。街中で着用しているマスクは自分が感染源にならないことを目的としています。感染しないためのマスクの着用ではありません。そのため、高性能マスクを着用しても効果は期待できないのです。布マスクで十分です。

Q11. スポーツジムでの感染が報道されました。これからも行っても大丈夫でしょうか?

A11.新型コロナウイルスが昨年末に中国武漢で発生してから、現在までの7か月間で様々なことがわかってきました。このウイルスは感染力があまり強くなく、特定の条件が揃うことによって感染しやすくなるのです。具体的には、「感染者から1m以内にいる」+「感染者も自分もマスクを着用しない」+「15分以上一緒にいる」の3条件が揃うと感染しやすくなり、これに「叫ぶ、歌う、大声を出す」が加わると、感染のリスクが一気に増加します。実際、接客を伴う飲食店では、これら4条件がそろったからクラスターが発生しました。

スポーツジムでは運動している人々は息を弾ませています。これは「叫ぶ、歌う、大声を出す」に近い状態であり、飛沫を遠方まで飛散させる状況となっています。通常は飛沫は感染者から1m程度まで飛散できないのですが、息が荒くなると2mまで届くと推測されます。

それでは、運動中にマスクを着用してはどうかという意見もあるかもしれません。しかし、そのような対応は運動者が苦しくなってしまいます。そのため、社会的距離を2m空けるということが大切です。もちろん、手洗いも大切です。運動器具にウイルスが付着していれば、そこに触れた手指にウイルスが付着し、無意識の間に自分の目、鼻、口の粘膜に触れることによって感染するからです。

もう1つ、スポーツジムでの感染で気を付けなければならないところに「更衣室」があります。ここでは着替えるために、殆どの人がマスクを取り外しており、しかも、社会的距離が保たれていません。ここに入る人数制限をするとか、更衣室の中でも必ずマスクを着用することが大切です。

従って、スポーツジムで運動を継続するためには下記の3点を守ることになります。
・他の人々と2m以上の距離をあける。それ以下の距離になるならばマスクを着用する。
・手洗いを頻回におこなう。
・更衣室では可能な限り、マスクを着用する。

Q12. 新型コロナウイルス感染症の患者の濃厚接触者ということで、親しい友人がPCR検査を受けました。その友人から私に感染していないかとても心配です。どの程度の感染率なのでしょうか?

A12.このウイルスは感染力が余り強くないことがわかってきました。濃厚接触しない限り、なかなか感染しないのです。また、濃厚接触したとしても100%感染してしまうことはありません。このようなことを言うと、東京や大阪などで毎日何百人の人々が感染しているのでないかと思われる人もいることでしょう。しかし、感染率についての実際の数字をご覧になれば理解できると思います。ここで、有名な医学雑誌に記載されている数字を紹介しましょう(1)

まず、濃厚接触者が感染する確率は5%です。100人の濃厚接触者がいたとしても、そのうちの95人は感染しないのです。僅か5人が感染するだけです。しかし、食べ物を共有したりすると、感染率は7%に増加します。同居家族のなかに感染者がいた場合、同居家族が感染する確率は10~40%となります。同居家族は一日中、寝食を共にし、マスクを着用せずに笑ったり、大声を出したりするので、どうしても感染する確率は高くなります。一方、コンビニなどに立ち寄ったとき、感染者と会話したなどの場合には曝露時間が短いので感染率は0.6%となります。病院では感染者であることを知らずに、医療従事者がその患者に無防備に接触(マスク無し、ガウン無しなど)した場合の感染の確率は3%以下です。

今回の相談者の場合、感染者に濃厚接触した友人が感染する確率は5%程です。万が一、友人が感染した場合、その友人に濃厚接触したならば、さらに5%の確率で感染するという計算になります。すなわち、貴方が感染している可能性はかなり低いと思ってください。もちろん、友人が感染しているか否かを確認することは大切なことです。

ところで、濃厚接触とはどのようなものでしょうか?一般に「感染者から1m未満にいる」+「感染者も自分もマスクをしていない」+「15分以上一緒にいる」の3条件を満たしたときと思ってください。これに、「歌う、叫ぶ、大声を出す」という行為が行われれば、感染率は増加します。

[文献]
1. Klompas M, et al. Airborne transmission of SARS-CoV-2: Theoretical considerations and available evidence. JAMA. 2020;324(5):441-442.

Q13. 国はGO TO トラベルキャンペーンを推進しつつ、帰省には消極的です。どちらも乗り物に乗って移動するのですから、感染リスクは一緒ではないでしょうか?

A13.旅行と帰省は感染のリスクは格段に異なります。旅行では旅行者は旅先で、マスクを着用したり、社会的距離を空けたりして、感染しないように気を付けます。ホテルの部屋も他人とは別室です。食事をするときも、他の人々からは離れて食べるようにすると思います。そのため、感染する危険性はかなり少なくなります。

一方、帰省では帰省者が帰省先の家族と一緒に生活をします。寝食を共にし、食事の時にはマスクを着用せずに、大声で笑ったり、楽しい時間を過ごします。また、同じ皿に箸をつけたりします。そのような濃厚な接触時間も長時間です。すなわち、帰省者もしくは帰省先の家族が感染者であった場合、同居家族での感染率の10~40%という確率で感染することでしょう。

GO TOトラベルキャンペーンでは感染予防を十分にして楽しんでほしいと思います。しかし、帰省については少なくとも、今年と来年は自粛していただくほうがよろしいかと思います。

Q14. 新幹線や在来線、満員電車や満員バスに乗車する場合にはどのようなことに気を付ければよいでしょうか?

A14.公共交通機関に乗車するときには、車内で社会的距離(1~2m)を確保すること困難です。その場合には必ずマスクを着用します。乗車している人々すべてがマスクを着用していれば、飛沫感染の危険性は格段に減少するからです。

次に大切なことは吊革や手すりのような「手指の高頻度接触面」に触れないようにすることです。触れた場合には手指消毒をすることが大切です。「手指の高頻度接触面」には新型コロナウイルスが付着している可能性があるからです。

それではどのようなところが「手指の高頻度接触面」なのでしょうか?それは、吊革や手すりのみならず、ドアノブ、トイレの洗浄ボタン、テーブル、肘掛けなどがあります。新幹線や特急電車のように長時間の乗車が予想されるときには、座席周囲の「手指の高頻度接触面」を消毒しておくとよいでしょう。

ただ、「手指の高頻度接触面」を消毒しようとか、そのようなところに触れたら手指消毒しようといっても、実行するのは難しいと思います。このウイルスの体内への侵入口は眼、口、鼻の粘膜だけです。汚染した手指でそのようなところに触れるのを避ければいいのです。そのため、20~30分毎に繰り返し手指消毒をする癖をつけておくのも大変有用です。

満員電車や満員バスに乗車したときには、空気中にウイルスが浮遊しているのではないかと心配する人がいるかもしれません。しかし、空気よりも、飛沫による感染の確率が格段に大きいので、飛沫対策を徹底することに注力しましょう。

結局、新幹線や在来線、満員電車や満員バスに乗車するときに感染しないためには「マスクを着用する」「20~30分毎に繰り返し手指消毒をする」の2点を徹底すればよいのです。

Q15. 飛行機に搭乗するときはどのようなことに気を付ければよいでしょうか?

A15.飛行機に搭乗したときの感染対策で重要なのは、空気を気にせずに、飛沫予防と手指消毒に集中することです。飛行機の空気は頻回に交換されています。また、新型コロナウイルスは飛沫感染するのであって、空気感染しないからです。そのため、マスクの着用と手指消毒を十分におこないます。

ただし、飛行機に搭乗するときには可燃物は所持できません。アルコール手指消毒薬は引火性があるので、持ち込むことはできません。航空会社は「アルコール度が24%を超え、70%以下のものは1人あたり5リットルまで、機内持ち込んだり、預けたりしてもよい」としていますが、アルコール手指消毒薬は濃度が70%を超えていることが多いので、持ち込むことができないのです。そのため、除菌ウエットティッシュを持ち込むとよいでしょう。これをアルコール手指製剤の代わりに用いたり、環境の清掃に使用するのです。

飛行機内では国内線では数十分、国際線では数時間の搭乗時間です。座席周囲の環境表面に触れてしまうかもしれません。そのため、肘掛け、テーブル、テレビのスイッチなどの「手指の高頻度接触面」を除菌シートなどでふき取っておくとよいでしょう。もちろん、航空会社も乗客の搭乗前にはそのようなところの拭き取り掃除をしていると思いますが、短い時間で多くの座席の「手指の高頻度接触面」を十分にふき取ることは難しいので、自分でふき取るようにします。座席の座面については余り気にしないでよろしいと思います。感染者の手指が触れるようなところではないし、自分の手指が触れるところでもないからです。小さなお子さんと一緒に搭乗する場合、子どもはどこに触れるかわかりません。そのため、20~30分毎に手を拭きとるという方法をお勧めします。

Q16. 帰省した場合にはどのようなことに気を付ければよいでしょうか?

A16.新型コロナウイルスの流行地に住んでいる人が非流行地に帰省するのは避けてほしいと思います。逆に、非流行地に住んでいる人が流行地に帰省するのも自粛してほしいと思います。しかし、どうしても帰省せざるをえない状況というものがあります。そのような場合、どのようにして新型コロナウイルスの感染予防をすればよいのでしょうか?

帰省すると、帰省先(実家など)の家族と数日間の濃厚接触をすることになります。一緒に食事をしたり、同じ部屋で寝たり、大声で会話したり、様々な活動がおこなわれます。これらのどれもが、新型コロナウイルスを伝播させやすい状況といえます。新型コロナウイルスの同居家族での感染率は10~40%と言われており、かなりの頻度で感染します。そのため、十分な対応が必要です。

まず、同居家族に高齢者や慢性疾患(心臓血管系、呼吸器系、糖尿病など)のある人がいる場合には、そのような人を確実に感染から守ることがとても重要です。感染した場合には重症化し、死亡することがあるからです。そのためには、飛沫予防と手指消毒を徹底することが大切です。手指消毒は20~30分毎に繰り返します。

家族内であっても、マスクの着用をしてほしいのですが、家の中で24時間マスクをすることは実際には困難です。そのため、高齢者や慢性疾患のある人から1~2mの距離を離して生活することをお勧めします。帰省したのに、そのような接触は難しいと思われるかもしれませんが、「Withコロナ」の時代に突入したのですから、「Beforeコロナ」の生活を持ち込んではいけないのです。

帰省者は自宅であっても、別室で寝泊まりします。それが難しければ、高齢者や慢性疾患のある人を別室にします。そして、食事では同じ皿に複数の家族が箸で触れないように、とりわけしておきます。コップなどの共有も禁止です。唾液の交換は是非とも避けたいと思います。バスタオルや顔拭きタオルも共有しないようにします。トイレのタオルはこまめに交換します。

食後の食器や洗濯物をどうするかということですが、食器は通常の洗剤による洗いで十分です。また、洗濯物も同様であり、家族のものと一緒に洗えばよいのです。洗剤で洗った食器や洗濯後の洗濯物は感染源にはなりません。

結局、帰省した場合は「帰省者もしくは高齢者や慢性疾患のある人は別室で生活する」「家族全員がマスクを着用する」「20~30分毎に繰り返し手指消毒をする」の3点を徹底すればよいのです。

Q17. 新型コロナウイルスは空気感染するのでしょうか?

A17.数カ月前、テレビで印象深い画像が映し出されました。人が咳や会話をすることによって、口腔から微小飛沫が飛び出し、それが空気中を雲の塊のように空気流に流されて、前後左右に浮遊するというものです。それを見た人々は「新型コロナウイルスは空気感染する可能性がある」と強く心の中に刻まれたのです。しかし、そのような印象画像で空気感染すると決めつけてはいけません。

感染者が会話をしたり咳をしたりして、口腔からウイルスを含んだ微小飛沫を空気中に放出したとしましょう。それによって、ウイルスが空気中に浮遊することになります。しかし、空気中に浮遊するというのは殆どの病原体にとって過酷な環境なのです。紫外線は飛んでいるし、乾燥しているからです。病原体は乾燥に脆弱です。そのような厳しい環境ではウイルスは次々と死滅してゆきます。人間が宇宙空間や海底1万メートルではすぐに死んでしまうように、ウイルスも死んでゆくのです。しかし、一部のウイルスは生き延びるかもしれません。それを周囲にいる人が吸い込む可能性はあります。その場合であっても、ウイルスは粘膜の上の粘液に付着してしまいます。粘液によって流されて、人間の組織に到達できないのです。それでも、一部のウイルスは到達するかもしれません。しかし、そこには免疫細胞が待っているのです。

すなわち、新型コロナウイルスは日常生活では空気感染しないと考えるのが適切です。確かに、病院内ではネブライザー治療(喘息の治療に用いる吸入治療)や挿管(人工呼吸するために気道に管を挿入すること)することによって空気感染することがありますが、それは極めて例外的なことです。そのため、空気感染を心配して対策をとる余裕があるならば、飛沫感染や手指を介する感染を恐れてほしいと思います。

「3密」という言葉が使われています。「密集」「密接」「密閉」の環境には入り込まないように推奨されています。密集しているところには感染者もいるかもしれません。密接した状況では感染者から飛沫を浴びてしまうかもしれません。密閉した環境では空気中に浮遊しているウイルスを吸い込んでしまうかもしれません。このように「3密」の環境には立ち入らないというのは適切な対応と思います。

しかし、感染対策では、「3密」ということで「密集:密接:密閉=1:1:1」というような重みで対応してはいけないのです。空気感染しないことから、「密閉」に費やす努力を「密集」と「密接」に振り分けてほしいのです。密閉は「0.1」程度の重みで十分です。すなわち、感染対策では「2.1密」というのが適切と思います。

オフィスの窓を開けっ放しにしながら、クーラーをかけても、室内温度の下がりは不十分になります。室内では皆さんがマスクをしていますが、暑い室内でマスクを一日中着用していると熱中症となることでしょう。やはり、窓を閉めて十分にクーラーを効かせることが大切です。多くの人々がオフィスに入って、室内が「ムッ」とするような状況になったら換気すればよいのです。

Q18. 新型コロナウイルス対策として密閉空間を避けるべきと聞きました。それではキャンプやバーベキューなどのアウトドアならば大丈夫でしょうか?

A18.「3密」(密集・密接・密閉)のなかの「密閉」から回避したとしても、「密集」「密接」の状況があれば、ウイルスに感染する可能性があります。新型コロナウイルスは飛沫感染するので、「密集」かつ「密接」したところでマスクをせずに、大声をあげたりしていれば、飛沫が飛び交うので、アウトドアであっても感染します。
実際、米国ではキャンプ場で大規模の集団感染がありました(1)。597人の子どものうち260人(44%)が感染したのです。そこには31のテントがあったのですが、テントあたり平均15人の子どもたちが一晩を共にし、歌ったり歓声をあげたりしていたのです。バーベキューについても同様であり、屋外で楽しんだとしても、多くの人々が密集して、マスクをせずに、大声をあげていればクラスターが発生する可能性はあります。

ただ、同居家族が自分たちだけでキャンプをするとかバーベキューをするならば、マスクをせずに大声をあげたりしてもよいと思います。日常的に濃厚接触をしているので屋外活動するからといって、更に感染する機会が増えるということはないからです。同居家族なのか、それとも友人やグループなのかによって、キャンプやバーベキューでの感染の危険性は異なります。従って、キャンプやバーベキューは同居家族で楽しむと良いでしょう。

[文献]
1. CDC. SARS-CoV-2 Transmission and infection among attendees of an overnight camp — Georgia, June 2020
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/pdfs/mm6931e1-H.pdf

Q19. 最近、殆どの人がマスクをしています。バス、電車、事務所など至る所で人々はマスクをしています。このような方法は本当に新型コロナウイルス対策として有効なのでしょうか?

A19.米国での事例ですが、大規模の美容院で1人の美容師が新型コロナウイルスに感染しました。この美容師はマスクをせずに接触した別の美容師に感染させ、自分の夫と娘、義理の息子、そのルームメートにも感染させました。しかし、その他の美容師や139人の客には誰も感染させなかったのです。美容師と客との接触時間は15〜45分(平均 19.5分)でしたが、2人の感染した美容師は仕事中には必ずマスクを着用し、すべての客もマスクを着用していたのです(1)

この事例では、濃厚接触しても、感染者も周囲の人々もマスクを着用していれば、感染しないことを示しています。すなわち、すべての人々がマスクをするということは感染予防にとても有用なのです。もちろん、社会的距離(1~2m)を確保できれば必ずしもマスクは必要ありませんが、そうでなければ、是非ともマスクを着用してほしいと思います。

[文献]
1. Hendrix MJ, et al. Absence of apparent transmission of SARS-CoV-2 from two stylists after exposure at a hair salon with a universal face covering policy — Springfield, Missouri, May 2020
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/pdfs/mm6928e2-H.pdf

Q20. ポビドンヨードのうがい薬が新型コロナウイルスに有効と聞いたことがありますが、本当ですか?

A20.ポビドンヨードのうがい薬が新型コロナウイルスに有効と判断するのは時期尚早です。おそらく、有効ではないでしょう。これについて解説したいと思います。

新型コロナウイルス対策として有効というのは何に期待してのことでしょうか?それは、「感染を予防する」もしくは「感染者を早期に回復させる」のどちらかと思います。まず、感染予防について考えてみたいと思います。

このウイルスの感染経路は「感染者が咳やくしゃみをしたときに口や鼻から飛び出す飛沫を周囲の人が吸い込む」というのが殆どです。眼の粘膜からウイルスが侵入して感染したという報告もあります。すなわち、新型コロナウイルスの体内への侵入口は「目」「鼻」「口」だけです。これら以外からは侵入できません。そこから侵入して、上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)や下気道(気管、主気管支、肺)に入り込んでゆきます。

うがいは口腔内だけの対応です。実際には目や鼻からもウイルスが侵入するのですから、うがいだけでは効果は期待できません。また、口腔内だけを常時、洗浄や消毒するといっても、1日に何十回もうがいできることもありません。もし、ポビドンヨードのうがい薬で何十回もうがいをしたら、口腔内は荒れてしまうでしょう。「ウイルスが口腔内から気道や肺に入り込む前にうがいすればいいのではないか!」と思われる人もいるかもしれませんが、そのような絶妙なタイミングでうがいをすることは不可能と思います。口腔内のみを消毒しても、鼻腔や喉頭、そして下気道に入り込んだウイルスは消毒できません。そのため、感染予防を目的とした「ポビドンヨードのうがい」の効果を期待することはできないのです。

次に、感染者を早期に回復させるためのうがいについて考えてみたいと思います。「もしかしたら、自分は既に感染していて、無症状もしくは軽症かもしれないので、重症化しないためにうがいする」という発想の人もいるかもしれません。しかし、これも効果は期待できません。ウイルスは上気道や下気道で増殖しており、そこはポビドンヨードのうがい薬が到達できるところではないからです。

新型コロナウイルスとの戦いは、これからはもっと激しくなると思います。効果的な感染対策を徹底する必要があります。そのためには、「効果が期待できない感染対策」をおこなう時間的余裕を「有効な感染対策」に振り分けることが大切です。「うがいに消耗する時間」を「手指を消毒する時間」にシフトしましょう。

Q21.WHOが「5歳以下はマスク着用の必要なし」との見解を述べましたが、現時点での感染症の専門医からの見解は?

確かに、「WHOは5歳以下はマスクを着用すべきではない」と明言しています(1)。それは「マスクの安全性」と「最小限の支援でマスクを適切に使用する能力」に基づいたものです。
まず、「マスクの安全性」についてです。マスクを着用する人は、マスクによって呼吸が苦しくなった時に自力でマスクを取り除くことができなくてはなりません。例えば、マスクを着けている幼児が水鉄砲で遊んでいるときに、マスクに水が大量に付着したとします。そのような状況では空気がマスクを通過できなくなるので、苦しくなるはずです。しかし、幼児はそのような経験をこれまでしたことがないので、マスクを取り外すという発想がないかもしれません。その結果、呼吸ができなくなり、危険な状況となります。マスクを着用すべきではないのは5歳以下の幼児のみではありません。「意識不明の人」「筋力のない人」「補助なしではマスクを外せない人」にも着用させてはいけません(2)。もちろん、もともと呼吸に問題がある人も着用しません。
次に「最小限の支援でマスクを適切に使用する能力」についてです。マスクは単に顔面に付ければよいというものではありません。マスクから鼻を出していたり、マスクを顎に付けていたのでは効果はありません。そのようなことにならないように保護者が監督するのです。しかし、付きっ切りで監督することは難しいと思います。そのため、最小限の支援さえあればマスクを適切に着用できる年齢になるまで、マスクを日常的に着用しないということなのです。
もちろん、5歳以下の子どもであってもマスクを着用することはあります。例えば、新型コロナウイルスやインフルエンザなどに感染した家族の近寄る場合などです。このようなときにはマスクを着用したほうがよいでしょう。ただし、親または他の保護者が直接監視するという条件付きです。それでは5歳以下であっても、マスクを着用してよいのは何歳からでしょうか?CDC(米国疾病管理予防センター)は2歳以上であればマスクを着用してもよいとしています(2)

[文献]
1. WHO. Q&A: Children and masks related to COVID-19
https://www.who.int/news-room/q-a-detail/q-a-children-and-masks-related-to-covid-19
2. CDC. Interim infection prevention and control recommendations for healthcare personnel during the coronavirus disease 2019 (COVID-19) pandemic
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/infection-control-recommendations.html

【NEW】Q22.会社などで、ビニールのカーテンのようなモノや、プラスチックの仕切りがあります。消毒してはいるようですが、人が入れ替わるたびに消毒することもなく、拭きあとが、むしろ汚いように感じてしまいます。仕切りをしないと、感染予防にならないのでしょうか?

A. この回答については8月24日に発刊した私の著書「うっかり やりがちな 新型コロナ感染対策の間違い15」(ヴァンメディカル社)(900円+税)に記述してあります。そこから抜粋して解説いたしますので、ご参考にしていただければ幸いです。
衣料品やコンビニなどのカウンターで「新型コロナウイルス感染予防のためにレジカウンターにてお客様と従業員の間にビニールカーテンを設置しております。皆様のご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします」などと掲示され、実際にビニールカーテンやプラスチックの仕切りが置かれています。これは客の口や鼻から飛び出す飛沫から従業員を守るために設置されたものと思われます。しかし、殆どのカウンターは「客⇒従業員」の感染予防策は実施するものの、「客⇒客」にウイルスが伝播することには無頓着のようです。
ウイルスはプラスティックの上で最大3日生存できます(1)。客が新型コロナウイルス感染者であった場合、ビニールカーテンやプラスチックの仕切りの表面にその客からのウイルスが付着し、そこで3日間生存することとなります。ウイルスが生存している期間に別の客の手指がそれらに触れると、その手指にウイルスが付着し、そのまま眼や鼻を擦れば感染してしまいます。すなわち、ビニールカーテンやプラスチックの仕切りを設置するならば、そこはドアノブなどの「手指の高頻度接触表面」のように頻回にふき取りや消毒する必要があります。
しかし、ビニールカーテンを適切にふき取ったり、消毒したりすることはできません。また、多忙な業務のなかで、プラスチックの仕切りなどを頻回に清掃することもできないことでしょう。すなわち、カウンターなどにビニールカーテンやプラスチックの仕切りを安易に設置することは新型コロナウイルス対策としては不適切といえます。
社会的距離を空けることの重要性が強調されており、WHOやユニセフはその距離を「1m以上」としています(2)(3)。厚生労働省も「最低1m(できるだけ2m)」としています(4)。実際、カウンターでの従業員と客の距離は1m以上です。それに加え、客も従業員もマスクをしています。そのため、ビニールカーテンやプラスチックの仕切りが本当に必要かについて再考すべきと思われます。すくなくとも、設置してから一度も洗浄や消毒をしないビニールカーテンなどは適切ではないことは明らかです。

[文献]
1. Doremalen NW, et al. Aerosol and surface stability of HCoV-19 (SARS-CoV-2) compared to SARS-CoV-1
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.03.09.20033217v2.full.pdf
2. Unicef. Physical not social distancing
https://www.unicef.org/sudan/press-releases/physical-not-social-distancing
3. WHO. Q&A on coronaviruses (COVID-19)
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/question-and-answers-hub/q-a-detail/q-a-coronaviruses
4. 厚生労働省. 新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を公表しました
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html