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がんになっても仕事をあきらめない! 私たちは、がん治療と仕事の両立を全力で支援します。


私たちががん治療と仕事の両立支援に力を尽くす理由

今、生きている間に2人に1人以上ががんになる時代です。そして、がんは多くの場合、確かに簡単ではない病気です。しかし最近、特にここ数年のがん治療の進歩には、目覚ましいものがあります。
従来からある抗がん剤による化学療法も新薬の登場や吐き気止めの進化により負担が大きく減っていますし、当院が特に力を入れている300を超えるがん関連遺伝子を調べて適切な治療法を探すがん遺伝子パネル検査や、2018年に本庶佑先生がノーベル賞をとったことで一躍名をはせた免疫療法(オプジーボなど)の登場・進化もあり、早期でも進行期でも、肺がん、胃がんなど多くのがん腫で素晴らしい治療効果を、しかも長い間が得られる方が年々増えてきています。
これらは本当に素晴らしいことです。しかし、このような治療法の進化と同時に新しい問題が見られるようになりました。

「仕事」の問題です。

まず最初に知ってほしいこと 「がん治療をしながら働くことはできる」

がんになったとき、治療をこれからするという時、こう考えてしまいがちです。
これから治療が大変だから、このまま仕事を続けると職場に迷惑をかけてしまう、
がん治療をしっかりするために、仕事をやめなければならない
治療の副作用に耐えながら仕事を続けることは無理だ
今の仕事は体力勝負だから、がんになった以上もう続けられない
仕事をしていては、入院や通院の時間がないから、仕事を辞めるしかない

がんと言っても、種類や病期は様々であり、まとめて議論することは大変難しいことです。また、仕事の意義や価値も各個人の状況(年齢、経歴等)、家庭の事情(家族構成、経済状況、等)により様々ですから、ただ一つの正解というものはありません。

しかし、がんと診断されたとき、多くの方は当然のことながら、気が動転してしまいます。必要な検査やこれからやる治療の内容、副作用の話、家族や生活のこれからのこと、お金のこと、次から次へと考えることが思い浮かびます。焦る気持ちもあるでしょう。そのようなときに正常な判断をすることはとても難しいことです。

私たちは、がんになった患者さんの「仕事」をサポートします。
まず、一番最初の一番大変なときに、大事な決断をすることはやめましょう。
がんと診断されても、仕事をすぐに辞める必要はありません。
もしかしたら、どこかで仕事を辞めることになるかもしれません。
でも、診断されてすぐに辞める必要はありません。
がんになっても、治療により治ることも、長い間元気に普通に過ごせることも、決して珍しくありません。そのような時、働くことは社会的、心理的、経済的に大きな支えになります。私たちは、元気になったり、状態が安定した方の就職もお手伝いします。
しかし、状況によっては、一度仕事を辞めてしまうと、仕事にもう一度就くこと、特に同じような仕事に就くことは簡単ではありません。
がんと診断されたら、これからの治療と仕事の両立できないかを、ぜひ一緒に考えましょう。

まずは私たちに声をかけて下さい。当院はがん拠点病院であり、患者支援室にがん相談センターが併設されています。
雇用者・会社との交渉もお手伝いします。
私たちは、会社と病院の橋渡し役になることができます。
何か治療と仕事の両立のために、利用できる制度があるかもしれません。
もちろんお話を聞かせて頂くだけでも結構です。

繰り返しになりますが、まずは私たちに声をかけて下さい。
お電話でも、直接来て頂いても結構です。主治医でも看護師に声をかけて頂いても結構です。患者支援センター/がん相談支援センターに行きたいと伝えて下さい。
社会福祉士(ソーシャルワーカー)、看護師、医師があなたをサポートします。
会社を続けるか辞めるかは、治療方針や見通しがわかって状況をよく把握し、私たちと相談してから判断しても遅くありません。
当院では、支援制度に詳しい社会保険労務士の力を借りることもできます。
皆様のお手伝いをできるよう、様々な分野の専門家が、患者支援センター/がん相談支援センターにはいます。

「働くがん患者」になったとき、利用できるかもしれない制度

がん治療は一般的に高額ですが、月々の支払いを一定額内に納める高額療養費制度があります。(上限の金額は所得によります)また、傷病手当金などの対象になることもあります。

「働くがん患者の皆様」を私たちがお手伝いする際、療養・就労両立支援指導料が健康保険で算定できます。これは、雇用者と患者本人、そして病院とで雇用情報、診療情報を相互にやりとりするための制度です。仕事を続けるために雇用者にして頂きたい配慮を病院から雇用者に伝え、また、病院にしてほしい雇用者としての配慮などの情報を、雇用者から病院に伝えてもらう仕組みです。

制度にはいずれも多かれ少なかれ制限や条件があり全ての方に利用いただける訳ではありません。このような制度を利用せず、自身で雇用者と相談することで十分にうまくいくこともあります。しかし、複雑化するがん治療の見通しを正確に伝えることは意外に難しく、誤解を招いてしまうこともあります。
また、がんの状況や治療方針は、様々に変化します。変化する度に雇用者に状況を説明することは、これも大変なことです。
事前に雇用者と患者支援センター/がん相談支援センターの連携がとれていれば、状況に適した雇用環境に近づけるための交渉がしやすくなります。

これから働きたいがん患者さんも今働いているがん患者さんも、いつでも相談できます。

がん治療をしながら働くとことには、様々なハードルがあることも確かです。
手術であれば、治療後しばらくは体力・筋力の低下は避けられません。
進行期で抗がん剤をする場合、もしくは手術の前後に抗がん剤をする場合、最初の抗がん剤のための通院・入院や、1週間前後のことが多い吐き気・倦怠感、そして骨髄抑制に伴う易感染性(感染しやすくなること)にも注意が必要です。
数多くある分子標的薬は薬剤により副作用が違います。
免疫療法では大変多彩な副作用の可能性があります。

治療しながらこれらに配慮をといっても、全ての方に環境や状況を希望通りに提供して頂くことはなかなか難しいのは確かです。雇用者に協力をお願いしても、雇用環境や職種、会社の状況によっては断られることもあります。自営業や経営者の方に私たちができることは、かなり限られてしまいます。

しかし、治療状況や見通しを踏まえて、雇用者に雇用をできるだけ患者さんにとって良い環境で続けて頂くためにどうしたらよいかを、患者さん本人、医療者、雇用者で相談することで、道が開くことも少なくありません。

診断したときにこのような仕組みを利用していない方は、治療の途中からでも利用できます。お気軽に患者支援センター/がん相談支援センターに寄って声をかけて下さい。

浜松医療センター 就労支援担当メンバー
西日本がん研究機構(WJOG)主催:がん治療と仕事の両立支援でエキスパート研修会(2022年6月11-12日)にて
右から、土屋 奈津子(社会福祉士)、内山 千春(看護師)、小澤 雄一(医師:呼吸器内科)