令和元年度 浜松医療センター 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1432 325 346 545 788 1020 1884 3220 2666 893
2019年度に当院を退院した患者さんの人数を10歳ごとの年齢階級別に集計しています。
60歳以上の患者さんは全体の66.0%で昨年より1.0%増加し、80歳以上は27.1%とこちらも0.6%増加しています。
これら60歳以上の患者さんでは疾患別に、各種のがんや、心疾患、脳血管疾患などの循環器系疾患が多く、また、高齢になるほど肺炎などの呼吸器系の疾患も多くなっています。 
また、当院は地域がん連携拠点病院となっていて、全ての年代でがんの患者さんの割合が高くなっているのも特徴となっています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
170020xxxxxx0x 精神作用物質使用による精神および行動の障害 定義副傷病 なし 14 1.29 2.84 0.00 30.64
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 13 2.62 7.34 0.00 61.46
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 13 3.77 3.52 0.00 46.85
161020xxxxx00x 体温異常 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 11 6.55 5.83 0.00 70.18
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし - - 9.67 - -
 令和元年度救急科入院症例では、急性薬物中毒が最多でした。急性薬物中毒は、精神疾患患者の自殺企図が多く、クリニカルパスを適用し、短期間で自宅退院、かかりつけの精神科医療機関継続管理としています。次いで急性アルコール中毒が多く、クリニカルパスを適用し、概ね1泊2日の入院加療で自宅退院となっています。脳震盪は、脳挫傷、急性硬膜下血腫などの新鮮粗大損傷が存在しなくても、嘔気、健忘などの症状が強い場合は、入院管理としています。
 また高齢化社会を反映し、介護困難に陥り、全身衰弱で救急搬送される高齢者が増加しており、熱中症、脱水、圧挫症候群として入院、退院調整まで救急科で対応せざるを得ない状況となっています。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 47 7.72 8.48 0.00 68.57
110280xx99010x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 40 16.13 14.23 0.00 66.63
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 32 13.91 11.67 6.25 63.72
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 1あり 28 42.11 36.04 3.57 75.61
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2 なし 17 38.59 20.93 0.00 63.24
 腎臓内科で最も多い症例は血液透析の準備のための内シャント手術を行う慢性腎不全です。腎機能低下が進行した場合、近い将来の血液透析の準備として内シャント手術を行います。
 2番目は高度の腎機能低下のため当院に紹介され、そのまま内シャント手術を行って血液透析を開始した慢性腎不全、または、カテーテルで血液透析を開始し、その後内シャント手術を行った慢性腎不全は在院日数が長くなります。内シャント手術と血液透析導入を同時に行うと在院日数が長くなります。
 3番目はあらかじめ内シャント手術を行って血液透析を開始した慢性腎不全です。また、腎炎に対してステロイド治療を行うと在院期間が長くなります。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 135 16.65 15.79 0.00 72.84
130030xx97x40x 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 65 27.91 31.30 3.08 70.63
130010xx97x2xx 急性白血病 手術あり 手術・処置等2 2あり 62 44.89 39.36 1.61 60.98
130030xx97x3xx 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等2 3あり 32 24.88 32.20 0.00 67.06
130030xx97x41x 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 あり 29 27.69 50.67 0.00 69.31
 血液内科では、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫といった腫瘍性疾患と、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病などの非腫瘍性疾患の治療を行っています。
 当科の入院患者では、急性白血病、悪性リンパ腫の症例が多くを占めています。両者とも化学療法(抗がん剤治療)を行っています。患者数、医師数ともに静岡県西部地域における血液内科の中核病院として機能しています。病院情報局というホームページにて、血液系 患者数の全国ランキングが掲載されていますが、ここにランクインしています。(非ホジキンリンパ腫の退院患者数:全国66位、急性白血病の退院患者数:全国37位)
 疾患の性質上、平均在院日数は長期化しやすいですが、病棟全体で入院期間の短縮化に取り組んでおり、全国平均と比較するとやや短くなっています。
また、化学療法だけではなく、骨髄移植や末梢血幹細胞移植といった造血幹細胞移植も積極的に行っています。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 125 14.31 9.79 2.40 76.09
060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等2 なし 56 6.36 5.39 0.00 58.91
060340xx99x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 47 12.17 9.68 6.38 78.77
060102xx99xxxx 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 36 8.28 7.65 0.00 65.64
06007xxx99000x 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 32 17.66 11.51 21.88 77.19
 消化器内科では、消化管疾患および肝胆膵疾患、急性疾患から慢性まで診断から治療を幅広くおこなっています。
 データにもあるとおり、日本人の高齢化を反映し肝胆膵疾患では胆道結石性疾患が、消化管疾患では大腸憩室、ウイルス性腸炎や虚血性腸炎などの下部消化管疾患が増加しています。これらは急性期疾患でもあり、適切な対応をしなければ重症化しやすいため24時間態勢を整え対応しています。
 なお、ヘリコバクター・ピロリ罹患率減少のため消化性潰瘍は減少していますが、他方高齢化による脳・心血管疾患予防のための抗血栓薬使用の増加に伴い薬剤性潰瘍疾患が増加しています。後者は重症化しやすく、また安易な抗血栓薬の休薬は脳・心血管疾患合併の危険性もあり慎重な対応をしながら治療しています。
 消化管および肝胆膵の悪性腫瘍に対しても積極的に診断・治療を行っています。消化管では食道・胃・大腸早期癌に対し内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、前癌病変である大腸腺腫性ポリープに対しては内視鏡的摘除であるEMRやCSPを積極的に行っています。また、悪性胆道疾患における閉塞性黄疸に対するステント留置、その応用で消化管狭窄に対しても行い、患者さんのQuality of lifeの向上に努め、肝がん治療では手術困難な例に経皮的ラジオ波焼却療法を含め、肝動脈塞栓療法及び放射線治療等を放射線科医の協力のもと集学的な治療をしています。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 188 17.79 17.71 6.38 82.65
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2 なし 184 4.47 5.02 0.00 66.96
050050xx02000x 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1,2あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 112 3.41 4.40 0.00 68.53
050070xx99000x 頻脈性不整脈 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 96 1.94 7.56 1.04 70.43
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1 なし、1,3あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 76 10.74 10.80 0.00 81.01
 循環器疾患は、心不全、虚血性心疾患、不整脈疾患が代表的な疾患であり、これらの疾患が単独で存在していることもあれば、それぞれが複雑に関連しているものまであります。当科ではその急性期対応、診断、基本的治療から高度な専門的治療まで行っています。
 令和元年度の当科では、心不全、頻脈性不整脈(カテーテル治療あり)の疾患が多く、次いで、虚血性心疾患(カテーテル治療あり)、頻脈性不整脈(カテーテル治療なし)、徐脈性不整脈(手術あり)でありました。循環器疾患に対して最先端の医療を提供するとともに、急性疾患に対して24時間常に的確な診断と迅速な治療を提供することが当院循環器科の使命と考え、診療にあたっています。
 虚血性心疾患に対する経皮的冠動脈形成術(PCI)や、頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーション、重症心不全に対する心臓再同期療法など非薬物治療を積極的に行っていますが、単なる症例数の増加よりも厳格な治療の適応判断と安全性を最優先し、心臓外科とも綿密に連携して、各々の患者さんにとって最良の結果をもたらす治療を選択することに努めています。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 151 24.51 20.84 29.80 85.77
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1 あり 98 2.66 2.03 0.00 58.79
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2 なし 90 17.16 18.84 3.33 71.89
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 73 2.85 3.34 0.00 71.78
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 49 13.43 9.59 4.08 65.31
 呼吸器内科で入院患者の第1位は肺炎などの感染症、第2位は肺癌です。高齢化社会の進行で呼吸器の感染症や悪性腫瘍に罹患する患者は増加の一途です。一般の肺炎では加齢に伴う食物嚥下機能の低下に起因する誤嚥性肺炎とそうでない肺炎に分かれますが、基本的に肺炎の治療は適切な抗生剤の投与と全身管理(輸液や呼吸不全には酸素管理など)で入院管理を行います。感染症なのでほとんどは緊急入院で軽快退院を目指します。重症患者には場合によっては集中治療による人工呼吸管理も行います。
 前述の嚥下機能低下による誤嚥性肺炎は一時的に改善してもまた再発するので、嚥下機能評価行い必要な患者には嚥下訓練を行います。肺炎では長期臥床による身体機能低下も来すため早期リハビリテーション開始を行い、入院日数の短縮を図ります。
 肺癌は部位別がん死亡率のトップであり、積極的治療にもかかわらずまだまだ予後不良な癌種ですが、それぞれの患者の組織型や遺伝子変異検索により適切な抗ガン剤が最近選択可能となり長期生存する患者が増加しています。その為の超音波内視鏡検査などの技術も進歩しています。患者の生活の質の維持/向上も念頭に短期入院を基本的に繰り返します。
内分泌代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100070xx99x100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 85歳未満 68 12.18 13.72 4.41 62.29
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 39 22.82 20.84 25.64 85.08
100071xx99x100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全あり。) 手術なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 85歳未満 24 18.88 14.10 0.00 65.88
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 16 16.50 13.41 12.50 67.50
100070xx99x000 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 85歳未満 16 8.50 10.84 0.00 51.31
 当科は糖尿病、甲状腺、下垂体副腎疾患を扱っていますが、入院患者さんは圧倒的に糖尿病患者さんが多くなっています。血糖コントロールの悪い患者さんが、教育入院、血糖コントロール目的で、当院外来から、また他院から紹介で来られ、高血糖症状(口渇、多飲、多尿)のない患者さんでは8日間の教育入院と並行して薬物調整し、退院となります。ただし、高血糖症状をともなうようなより血糖値の高い患者さんでは8日間の教育入院に加えて、もう1週間を目安に血糖コントロール入院を継続します。さらに意識障害を伴うようなケトアシドーシスの患者さんは生命の危険を伴いますので、多くは救命病棟へ入室の上、厳格に管理します。
 また高血糖高浸透圧性昏睡の患者さんは高齢者、経管栄養等で施設入所中の方が多く、誤嚥性肺炎を合併することもあり、入院は長期になり、またもとの施設に戻るため転院となる患者さんが多くなっています。最近では、高齢者の増加から、誤嚥性肺炎の患者さんが増え、呼吸器内科だけでは対応しきれないことから当科でも引き受け加療しています。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990201 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 - - 16.16 - -
010060x2990200 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 発症前Rankin Scale 3、4又は5 - - 19.67 - -
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし - - 7.10 - -
010061xxxxx0xx 一過性脳虚血発作 手術・処置等2 なし - - 6.22 - -
010240xxxxxxxx 片頭痛、頭痛症候群(その他) - - 5.94 - -
 脳神経内科で最も多い疾患は脳血管障害、特に脳梗塞で、全体の約70%を占め、ほぼ緊急入院です。抗血小板療法や抗凝固療法などの保存的治療を行いつつ早期の自宅退院を目指してリハビリを行っていますが、高齢の症例も多く、約40%の症例ではリハビリテーション病院や療養型病院への転院となっています。
 次いで多いのは進行期パーキンソン病や多系統萎縮症などの脳の変性疾患で、嚥下障害や誤嚥性肺炎などの合併症で入院し、胃ろう造設が必要になることもあります。
 そしててんかん、多発性硬化症や重症筋無力症などの免疫性神経疾患や髄膜・脳炎など炎症性疾患が続きます。
感染症内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 手術なし 定義副傷病 なし 30 9.43 12.58 0.00 77.93
180010x0xxx0xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等2 なし 29 19.34 19.29 13.79 82.55
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 25 17.68 20.84 28.00 83.92
060390xxxxx0xx 細菌性腸炎 手術・処置等2 なし - - 7.38 - -
0400801499x002 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし A-DROP スコア2 - - 15.17 - -
 感染症内科は外来患者と入院患者の内容が大きく異なります。外来患者ではエイズ/HIV感染者、輸入感染症(デング熱など)、渡航ワクチンが大半を占めています。入院患者については敗血症、腎盂腎炎、誤嚥性肺炎が多い傾向にあります。
 敗血症は何らかの感染症によって病原体が血液中に流れ出る病態であることから、腎盂腎炎、肺炎、感染性心内膜炎、内臓膿瘍などを基礎疾患に持つ患者が多い傾向にあります。腎盂腎炎については菌血症を合併するような重症患者が入院していますが、尿路結石などの尿流を阻害する合併症を持つ患者については泌尿器科に迅速に相談しています。
 誤嚥性肺炎は高齢者に多いため、平均年齢も高く、合併症も様々であることから、平均在院日数がやや長くなっています。
 インフルエンザおよびウイルス性腸炎は基本的に外来でフォローしますが、重篤な場合に限って入院加療することがあります。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 定義副傷病 なし 195 5.58 6.19 0.51 1.89
060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等2 なし 99 4.52 5.39 0.00 4.88
080270xxxx1xxx 食物アレルギー 手術・処置等1 あり 84 1.04 2.15 0.00 2.52
0400801199x00x 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 79 5.42 5.69 0.00 3.80
030270xxxxxxxx 上気道炎 54 4.19 4.94 1.85 1.35
 小児科に入院する患者さんのほとんどは急性期疾患です。その中で急性気管支炎・急性細気管支炎・肺炎とウイルス性腸炎が上位となっています。呼吸困難があって水分摂取や睡眠が困難となったり、体の酸素濃度が低下して、酸素吸入が必要になったりして入院となります。
 当院では、開院当時から喘息や呼吸器疾患の診療に力を入れてきました。最近では、「ネーザルハイフロー」という酸素吸入だけでなく気道の加湿と気道狭窄を防ぐ気道圧がかかる治療法で、重症なRS感染症治療に成果を上げています。
 また、喘息の治療では、今までの重症度別から各症例に合わせた個別治療を行うための臨床研究とその結果を基にした、「最少の薬剤で最大の効果」をめざして診療しています。激しい嘔吐や下痢などで脱水状態となり入院する胃腸炎の患者さんに対しては、脱水が改善し、水分や食事摂取が可能となるまで輸液を中心に治療をしています。
 食物アレルギー負荷試験は、幼児と学童の軽症例は外来で、乳児や重症アレルギーの既往がある症例は入院で負荷試験を行っています。負荷試験を基に、除去による安全な生活と食べることによる食のQOL向上を基本とした食事指導を行っています。
リウマチ科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 22 24.32 15.48 0.00 70.82
070470xx99x0xx 関節リウマチ 手術なし 手術・処置等2 なし 21 25.71 16.09 9.52 77.10
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし - - 20.84 - -
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 手術なし 定義副傷病 なし - - 12.58 - -
100202xxxxxxxx その他の副腎皮質機能低下症 - - 10.83 - -
 全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎/多発性筋炎、リウマチ性多発筋痛症、血管炎症候群、不明熱など重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患の症例が急性期の入院として多いです。 
 関節リウマチは外来治療が基本ですが、高齢化、感染などのさまざまな合併症、一人暮らしで生活ができない、ADLが低下して自宅での介護が困難などで入院となるケースも増えております。関節リウマチの入院症例は平均年齢が高いですが、当科が担当の他疾患よりも平均在院日数は低く維持できています。
 全身性自己免疫疾患で臓器病変の後遺症が進行した症例では自宅での生活が可能になるまでの治療やリハビリ、介護保険の申請と手配、施設や後方病院探しと入院も長くなりがちです。浜松市内にはリウマチ性疾患の入院できる病院が少なく、急性期だけではなく介護の必要な患者様の一時的な入院も当科の役割と考えています。
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 94 3.31 4.85 1.06 70.06
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 60 8.13 8.89 1.67 73.48
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 54 4.87 5.45 0.00 35.94
060335xx02000x 胆嚢水腫、胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 50 5.62 7.13 0.00 59.14
060150xx99xx0x 虫垂炎 手術なし 定義副傷病 なし 46 7.61 6.94 0.00 45.30
 消化器外科の特徴は、胆嚢摘出術、胃切除術や大腸切除術に腹腔鏡下手術を積極的に導入していること、原発性肝癌のみならず転移性肝癌にも積極的に肝切除術を施行していること、胆管癌、胆嚢癌、膵癌に対しては血行再建を伴う拡大手術を行っていること、急性胆嚢炎に対する緊急ラパコレ施行などです。開業医の先生よりご紹介いただいた救急患者さんを「ことわらない」をモットーに365日緊急手術が行える体制をとっています。
 年間の手術総数は713件あり、この内緊急手術が18%を占めています。悪性疾患では大腸癌(結腸癌+直腸癌)切除が75件(腹腔鏡補助下切除が45件)で、次いで胃癌切除が31件(腹腔鏡下手術8件)となっています。肝胆膵領域の癌切除は合わせて40 件です。良性疾患では、皮下埋め込み式ポート留置術 110件、鼠径部のヘルニア(大腿ヘルニアを含む)94件、胆嚢摘出術92件(ラパコレが80件)虫垂切除術 54件、腸閉塞手術 25件などです。クリニカルパスを多くの手術に適用しており、手術の前日入院を基本としています。大腸疾患は腸管の処置のために2日前入院となっていますが、鼠径ヘルニアでは当日入院もあります。在院日数は多くの疾患で全国平均を下回っていて、自宅への退院が多くなっています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100020xx010xxx 甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術 切除等 手術・処置等1 なし - - 8.44 - -
100130xx97x0xx 甲状腺の良性結節 手術あり 手術・処置等2 なし - - 7.37 - -
100140xx97xxxx 甲状腺機能亢進症 手術あり - - 9.26 - -
- - - - - - -
- - - - - - -
 当院外科では主に浜松市内で開業されている先生と連携し甲状腺疾患の手術を年間10~20例行っています。適応疾患は甲状腺悪性腫瘍(乳頭癌、濾胞癌、髄様癌)、バセドウ病、巨大甲状腺腺腫や結節であり、開業医で診断され手術適応になったものの全身性合併症(心臓呼吸器疾患併存)や局所進行高度(高度なリンパ節郭清を伴うもの、甲状腺全摘が必要なもの)などのハイリスク症例が紹介されてきます。
 必要な検査を行ったのち、全身状態を再確認し手術日を決定します。通常は紹介日に術前検査を終えて入院・手術日を決めます。「手術に関する説明と承諾書」は開業医より行っていただき入院日に持参していただいています。手術前日入院して翌午前中まで術前経口補水を行い、13時半より手術室にて点滴確保してから手術に臨みます。手術は開業医立会いのもとで行われ、夕方までには全身麻酔から覚醒して病室に戻ります。翌朝まで手指の痺れや嗄声の程度を確認し、可能なら飲水を開始します。むせが強くなければお昼より食事を再開して点滴を終了します。見張りドレーンは出血がないことを確認後に抜去されますので手術翌日にはチューブ類が全て外れ、ご本人と家族の都合次第では退院も可能になります(当院では全国平均よりも2日前後の早期退院を実現)。退院後はこれまで通りに開業医への外来通院を行っていただくため、当院への通院は不要です。
 当院では耳鼻咽喉科や麻酔科と緊密な連携をとって治療に当たっていることが特徴と言えます。
乳腺外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx01x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等2 なし 55 8.71 10.34 0.00 64.53
090010xx02x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 手術・処置等2 なし 46 4.20 6.10 0.00 59.96
090020xx97xxxx 乳房の良性腫瘍 手術あり - - 3.94 - -
090010xx99x2xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 2あり - - 29.20 - -
090010xx99x01x 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 あり - - 12.92 - -
 当院で行われる乳腺の手術は、乳がんの手術が大部分を占めています。乳がんの手術には乳房部分切除術と乳房切除術があります。当院では手術前日に入院し、手術後は乳房部分切除術で2日間、乳房切除術で7日間の入院期間を基本としています。腋窩郭清を伴った場合は、術後のリンパ漏出量が多いため入院期間が数日延長されることがあります。乳房切除術と同時に乳房再建術を行った場合は術後の入院期間が最大14日間になることがあります。
 乳房の良性腫瘍に対しては乳腺腫瘍摘出術を行います。多くは局所麻酔で行われますが、腫瘍が大きい、または患者さんの希望に応じて全身麻酔下で行われることもあります。乳腺腫瘍摘出術は手術翌日に退院できます。また希望のある方は手術当日に入院することもできます。乳腺疾患は若い方から高齢の方まで幅広い年齢で発症し、患者さんによって生活スタイルや要望は様々です。当科では患者さんの希望を聞きながらそれぞれに合った治療計画を考えていくことを大切にしています。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2 なし 48 11.35 11.51 0.00 72.10
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 15 7.00 10.18 0.00 33.47
160400xx99x00x 胸郭・横隔膜損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 11 8.00 8.73 9.09 76.64
160450xx99x00x 肺・胸部気管・気管支損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし - - 9.07 - -
160450xx99x10x 肺・胸部気管・気管支損傷 手術なし 手術・処置等2 あり 定義副傷病 なし - - 10.79 - -
 手術症例で最も多い症例は原発性肺癌です。最近は糖尿病、心疾患、脳血管障害、腎・肝障害等の合併症を有する患者さん、また高齢の患者さんの手術も多く増加しており、関係科と連携をとりながらバランスのとれた診療を行っています。そのため平均在院日数もやや長めとなっています。
 手術症例で2番目に多いのは自然気胸です。若年者に多く、良性疾患ですが再発しやすいという特徴があります。手術は再発時に行うことが一般的ですが、受験生など再発予防のため初発時でも手術を行うことがあります。高齢者の自然気胸では肺気腫を有することが多く、他の併存疾患も考慮の上、手術適応および術式を決定しています。原則的に手術症例に対してはクリニカルパスを適用しています。外傷は高齢者が多く、疼痛コントロールを強化しつつ早期からのリハビリを導入し入院期間の短縮をはかっています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 67 5.81 9.67 11.94 78.24
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 59 13.90 16.13 38.98 71.00
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 53 23.38 18.81 67.92 72.74
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 46 12.00 7.34 10.87 61.67
010060x2990200 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 発症前Rankin Scale 3、4又は5 41 16.76 19.67 46.34 80.20
 脳神経外科の入院患者数で最も多い疾患は脳梗塞です。脳梗塞はアテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、脳塞栓症に分類され症状もいろいろ有ります。当科では急性期治療としてt-PA治療、血管内治療等を積極的に行っています。又、比較的軽症の場合でも入院してしっかり治療することにより後遺症の軽減に努めています。脳梗塞に伴い頸部内頸動脈の狭窄が見つかることが増えています。このような場合は頸動脈血栓内膜剥離術や血管内手術によるステント留置術を行っています。
 次に多いものは外傷および慢性硬膜下血腫です。高齢者の増加に伴い自宅での転倒事故が増加しています。高齢者の場合軽微な外傷でも重大な脳損傷を来すことが有り経過観察のための入院も増えています。その他当科の特徴として水頭症の患者さんが多いことが有ります。歩行障害、認知障害、尿失禁が主要な兆候である正常圧水頭症の患者さんが増えています。積極的に検査を行い手術は患者さんの負担が少ない腰椎腹腔短絡術を行っています。その他新生児の水頭症、小児脳腫瘍、もやもや病、成人脳腫瘍等幅広く治療を行っています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 217 23.82 25.94 66.82 83.94
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 111 18.14 21.53 3.60 65.96
160690xx99xx0x 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 定義副傷病 なし 100 16.65 19.40 57.00 82.42
160760xx97xxxx 前腕の骨折 手術あり 83 4.29 5.54 2.41 55.13
070343xx01x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等 手術・処置等2 なし 40 18.98 20.93 25.00 67.90
 整形外科は、運動器と呼ばれる骨・関節・筋肉・靭帯・脊髄・抹消神経等の臓器の疾患や外傷(骨折など)を診療対象とする診療科です。
本邦は世界で最も高齢化が進んだ社会構造となっており、これを反映して整形外科では大腿骨近位部骨折(大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折など)や脊椎椎体骨折などの骨粗鬆症を基とする高齢者の骨折患者の入院件数が多数を占めています。特に大腿骨近位部骨折は、その大部分が手術対象となっていますが、手術対象となる平均年齢が80歳代半ば前後であり、何らかの内科的併存症や認知症を伴った例が多数を占めています。
 浜松地域では本骨折治療に際し手術を請け負う浜松医療センターのような急性期医療機関・リハビリテーションを担う回復期医療機関・家庭などへ復した後の維持機管理を担う診療所のそれぞれが協力して地域内連携診療を行っており、浜松医療センターでの手術治療後は多くの例が早期にリハビリテーション専門施設に速やかに転院する体制を撮っています。
 また、浜松医療センターには下肢関節再建・人工関節センターが設置されており、特に成人股関節疾患に対する人工股関節置換術や骨切り術などの専門性の高い手術治療が数多く実施されていることから変形性股関節症等に対する手術治療目的の入院例も多数を占めています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx0101xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 11 17.45 22.71 0.00 71.91
050161xx97x11x 解離性大動脈瘤 その他の手術あり 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 あり - - 44.26 - -
050080xx01010x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし - - 23.77 - -
050161xx01x0xx 解離性大動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2 なし - - 15.64 - -
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2 なし - - 11.75 - -
 令和元年度の手術でもっとも多かったのは冠動脈バイパス手術です。狭心症などの虚血性心疾患に対しては人工心肺装置を使用せず心臓を拍動させたまま手術を完遂するOPCAB(心拍動下冠動脈バイパス術)を第一選択術式としています。
 つぎに多かったのは急性大動脈解離に対する緊急手術で、当院では可能な限り救急外来から手術室へ直入し緊急手術をおこなう方針としております。次に多いのは心臓弁膜症です。心臓弁膜症に対して当科では80歳を超える方々に対しても、術前に各臓器機能を十分精査した後、積極的に手術を行う方針です。
 胸部大動脈瘤に対しても、ステントグラフト内挿術をおこなっておりますが、近年では解離性大動脈瘤に対しても積極的に行っております。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160200xx0200xx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 14 4.14 5.26 0.00 38.29
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2 なし 11 8.91 7.90 0.00 73.00
100100xx97x1xx 糖尿病足病変 手術あり 手術・処置等2 あり - - 48.04 - -
090010xx01x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等2 なし - - 10.34 - -
050170xx9720xx 閉塞性動脈疾患 その他の手術あり 手術・処置等1 2あり 手術・処置等2 なし - - 36.93 - -
 形成外科で最も多い症例は、皮膚腫瘍です。皮膚の腫瘍には良性のものと、悪性(癌)があります。見た目で診断することができる場合はよいのですが、顕微鏡検査による確定診断が必要になることも多く、その場合は手術になります。皮膚腫瘍は体表にできるため、手術による見た目の変形を最小限にする必要があり、形成外科的な手技が必要です。
 また当科では他科での悪性腫瘍等切除後に失われた組織の再建も行っております。中でも多いのが乳癌の手術により失われた乳房を作り直す手術(乳房再建)です。人工物(シリコンインプラント)または自分の組織(自家組織)による再建両者に対応可能です。患者様の状態、希望に応じて再建方法を検討させていただきます。
 小さなほくろ、青あざ(異所性蒙古斑、太田母斑等)、しみ等はメスを使わないレーザー治療も行っております。
 加齢に伴う眼瞼下垂の手術も行っております。
 巻き爪に対して様々な治療も施行可能です。(手術、ワイヤー、クリップ等)
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120260xx01xxxx 分娩の異常 子宮破裂手術等 66 8.23 9.53 0.00 32.85
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 47 11.06 9.66 0.00 33.26
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 39 8.10 9.71 0.00 46.36
120170xx99x0xx 早産、切迫早産 手術なし 手術・処置等2 なし 29 19.21 19.06 3.45 32.21
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 手術・処置等2 なし 29 3.86 3.13 0.00 40.97
 当院の産婦人科は地域周産期母子医療センターとしての役割を担っているため、院内の症例は小児外科と小児心疾患以外、すべての重症症例や早産症例を自院で管理しています。さらに、院外の緊急母体搬送も受け入れているため、切迫早産や重症患者さんが多く入院しています。重症症例も含め年間の分娩数は約1000件で、そのうち約15%が帝王切開分娩となるため、最も多い保険診療の症例は帝王切開による入院です。前回の分娩が帝王切開分娩であるため、今回も切迫子宮破裂として帝王切開を行う症例と骨盤位や胎児の異常で帝王切開を行う症例が疾患群の1番と2番になります。当院での帝王切開率は全国平均が20%ですので周産期センターとしては低い方になります。
 婦人科では良性腫瘍だけではなく悪性疾患も多く取り扱っています。悪性疾患の場合、術後の抗がん剤治療を行う症例が多く存在します。できるだけ外来化学療法を勧めていますが初回治療やご本人の状態や希望によって入院して行うことがあります。
新生児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 265 3.52 6.17 0.00 0.00
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2 なし 45 12.62 11.16 0.00 0.00
140010x199x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 1あり 24 6.63 11.21 0.00 0.00
140010x299x2xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2 2あり 14 31.79 27.74 0.00 0.00
140010x299x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2 1あり - - 22.05 - -
 当院は地域周産期センターに指定され、ハイリスク妊婦を管理する周産期センター、助産師が中心となりリスクがない妊婦を扱うメディカルバースセンターめばえと2つの部門で分娩を行っています。
 当院は母児同室を基本としていて、産科病棟には新生児室がありません。新生児の疾患で非常に多い黄疸も産科病棟で治療できないため、NICUで一番多い症例は新生児黄疸となります。光線療法のみで軽快するお子さんが多いですが、他の疾患が原因であることもあり、その場合には追加の治療を行うこともあります。
2番目は出生体重1500gから2500gで出生する低出生体重児のお子さんです。保育器に収容するだけで大丈夫なお子さんから、点滴、人工呼吸器などを必要とするお子さんまで様々で、そのお子さんにあった治療を選択しています。3番目は2500g以上で出生し、呼吸障害などの病気を発症し、その治療をしないといけないお子さんです。
 当科は12床と小さいNICUですが、500gに満たない小さいお子さんも管理することがあり、また人工呼吸器やNO(一酸化窒素)療法なども行うことができるNICUです。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 36 8.06 9.00 0.00 71.11
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1 なし 24 10.04 12.55 4.17 69.13
080100xxxx0xxx 薬疹、中毒疹 手術・処置等1 なし - - 10.81 - -
080110xxxxx0xx 水疱症 手術・処置等2 なし - - 28.56 - -
170020xxxxxx0x 精神作用物質使用による精神および行動の障害 定義副傷病 なし - - 2.84 - -
 最多の帯状疱疹は汎発疹を伴う場合や、三叉神経領域の場合、皮疹や疼痛が重度の場合に入院していただき抗ウイルス剤を投与しています。
 次いで多い膿皮症は蜂窩織炎、丹毒で抗生剤点滴で対応しております。そのほか食物アレルギーや薬剤アレルギーのうち点滴治療を要する重症例は入院治療をおこなっています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 610 3.06 2.78 0.00 74.91
020220xx97xxx0 緑内障 手術あり 片眼 99 4.80 7.53 0.00 69.60
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 22 4.18 6.71 0.00 74.05
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり 片眼 18 3.39 5.95 0.00 73.00
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり 片眼 18 5.33 9.33 0.00 58.39
 当科では手術目的の入院が大部分を占めています。中でも白内障の手術目的の入院が多数を占め、昨年度の入院件数は610件でした。続いて緑内障手術目的の入院が約100件、硝子体手術目的の入院が約70件でした。
 白内障手術、緑内障手術、硝子体手術のいずれもクリニカルパスを用いて、短期入院での手術が可能となっています。白内障手術は2泊3日、緑内障手術は4泊5日(線維柱帯切開術)または7泊8日(線維柱帯切除術)、硝子体手術は3泊4日で運用しています。
 いずれの手術も小切開、低侵襲の手術となっており、早期退院、早期社会復帰が可能となっています。手術以外の入院では原田病や視神経炎のステロイドパルス療法、眼窩蜂窩織炎への抗生剤点滴療法などに対応しています。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 139 5.60 5.01 0.72 67.54
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 79 9.16 7.80 0.00 10.61
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 59 5.51 7.85 0.00 45.98
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 58 7.71 6.80 0.00 52.83
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 37 6.14 5.45 0.00 35.00
 耳鼻いんこう科は急性疾患に対し薬物治療を行う症例と、手術を行う症例とがあり、およそ6対4くらいの割合となります。前者の主なものとして、突発性難聴、各種めまい疾患や、咽喉頭領域の炎症性疾患などがあります。症例数としては末梢前庭障害によるめまいが入院症例の中で最も多くなっています。これらは1~2日程度で退院できるものから、特に高齢者では長期化することもありますが、それぞれの病態に応じた薬物治療や理学療法を行い、早期離床を促すよう指導しています。突発性難聴、特発性やハント症候群による顔面神経麻痺はクリニカルパスで9日間の入院加療としています。
 今年度より突発性難聴には従来の治療に加えて、高気圧酸素治療を併用しています。良好な経過を得る症例がでています。高度な顔面神経障害には神経開放術の適応を視野に入れながら治療を行っています。手術症例は副鼻腔疾患と中耳疾患の割合が高いです。患者さんの年齢層は比較的低いので、ほとんどが計画通りの退院となり、入院日数も短くなっているのが特徴です。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx02020x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 59 6.61 7.25 0.00 76.37
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 手術・処置等1 なし 定義副傷病 なし 40 7.88 5.61 2.50 64.28
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 手術なし 定義副傷病 なし 36 10.89 12.58 0.00 75.58
11012xxx97xx0x 上部尿路疾患 その他の手術あり 定義副傷病 なし 15 11.20 7.38 0.00 73.67
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術等 14 9.36 8.52 0.00 69.43
 泌尿器科で最も多い入院疾患は、膀胱癌になります。多くは尿道から膀胱に器具を挿入して癌を切除する、経尿道的手術を施行して治療します。癌が膀胱壁深くまで浸潤していることがわかった場合は、開腹手術を含めた次の治療に移行します。
 次に多い疾患は尿管結石となっております。尿管結石は疼痛などで緊急性を要する場合もあり、また結石が原因の尿路感染症であった場合は時期をおいて砕石しなければならないことも多くあります。その次に多いのは腎臓または尿路の感染症、具体的には急性腎盂炎や急性細菌性前立腺炎などになります。よく知られた膀胱炎では外来治療で済むことがほとんどですが、細菌感染が腎臓や前立腺に及ぶと、高熱が出て食事ができなくなるなど、入院治療が必要な状態になりがちです。適切な抗菌薬投与により炎症自体は1週前後で回復が期待できますが、ご高齢な方、持病がある方では、体力が低下するきっかけとなり元の生活に戻るのに時間がかかることがあります。リハビリ部門などと連携して早期に退院できるよう援助し、自宅退院困難な場合には後方支援施設への紹介を行っております。
血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 60 2.90 2.78 0.00 63.98
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 52 8.67 8.48 5.77 71.92
050170xx99000x 閉塞性動脈疾患 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 13 7.15 7.82 7.69 77.85
050170xx03000x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 12 12.50 5.34 0.00 81.33
110280xx97x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 10 3.10 15.68 30.00 71.30
 血管外科領域で最も多い疾患である下肢静脈瘤の治療は、当院でも最も診療実績が高く、2泊3日のパスを使用しており、ほとんどの症例がパス通りに退院できています。続いて多いのが、血液透析用のシャント手術です。早期に退院可能な症例もあれば、2~3週間の入院が必要な場合もあります。
 当院では基本的に使用可能なことを確認してから透析クリニックにお返ししているので、平均在院日数はやや長い傾向にあります。閉塞性動脈硬化症の患者さんは近年増加傾向にあり、患者さんの状態に応じて、血管造影で診断のうえ、バイパスや血管内治療を行ったり、保存的治療を継続したりしています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 45 14 13 36 15 20 1 8
大腸癌 33 19 37 44 27 31 1 8
乳癌 48 35 - - 14 1 8
肺癌 44 16 48 83 53 110 1 8
肝癌 - 11 - - 12 31 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
5大がんと呼ばれる胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、肝がんの患者さんの数を、初発の UICC 病期分類別、および再発に分けて集計しています。 UICC 病期分類とは、UICC 病期分類国際対がん連合によって定められた、①原発巣の大きさと進展度(T)、②所属リンパ節への転移状況(N)、③遠隔転移の有無(M)の 3つのカテゴリによって各がんをⅠ期(早期)からⅣ期(末期)の 4病期(ステージ)に分類するものです。Ⅳ期が最も進行していることになります。平成30年度に退院した患者さんを集計し、集計対象期間中に複数回入院された患者さんはそれぞれ集計をしております。「初発」とは、当院において当該腫瘍の診断、あるいは初回治療を実施した場合を指します。「再発」とは、当院・他施設を問わずに初回治療が完了した後、当院にて患者を診療した場合や、がん寛解後に局所再発・再燃または新たな遠隔転移をきたした場合を指します。

2:癌取扱い規約とは、日本で編集されている規約で、がんを取り扱う臨床医や病理医に欠かせない基本的知識と約束事をまとめた小冊子のことです。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 46 9.70 51.63
中等症 172 17.23 79.62
重症 38 15.26 82.95
超重症 - - -
不明 - - -
 DPCデータの入院契機病名および最も医療資源を投入した傷病名が肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(DPCコード6桁が040080に相当)で、さらにその中でもICD10(注1)コードがJ13~J18(肺炎レンサ球菌による肺炎、インフルエンザ球菌による肺炎、その他肺炎)で始まり、市中肺炎(注 2)の患者さんが対象となります。

 (注1)ICD10とは、「疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(以下「ICD」と略)」とは、異 なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世 界保健機関(WHO)が作成した分類です。
【引用元:厚生労働省 HP 疾病、傷害及び死因の統計分類】

 (注2)市中肺炎とは、普段の社会生活を送っている中で罹患した肺炎のことです。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 352 22.54 76.34 40.00
その他 18 15.28 71.89 1.08
 当院では3日以内の脳梗塞の占める割合が高くt-PA療法や血管内手術等を積極的に行うとともに早期からリハビリテーションを行い機能回復に努めています。脳血管の閉塞部位により頸部の内頸動脈の閉塞を来したものが脳実質外動脈の閉塞および狭窄にあたります。脳血管に狭窄や閉塞が有っても脳梗塞に至らない場合が有ります。その他特殊な病気として両側の内頸動脈中大脳動脈前大脳動脈が徐々に狭くなり閉塞し副側血行路として穿通師領域の血管が発達しもやもやとした像を呈するようになるもやもや病と言う疾患が有ります。この疾患に対しては脳血流の測定等を行い手術適応を決定しています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 99 5.77 10.87 4.04 77.25
K6851 内視鏡的胆道結石除去術(胆道砕石術を伴うもの) 45 6.49 7.73 2.22 80.22
K654 内視鏡的消化管止血術 44 0.80 15.36 6.82 74.66
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル未満) 33 1.45 4.30 0.00 69.18
K6532 内視鏡的胃ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) 23 1.00 7.43 0.00 75.74
 消化器内科では、低侵襲で臓器温存を目指した患者さんにやさしい治療である内視鏡治療を幅広くおこなっています。
データにもあるとおり、増加する胆道結石疾患に対し内視鏡的胆道結石除去術や、悪性ならびに良性胆膵疾患に対しよりQOLを重視して内視鏡的胆道ステント留置術を積極的におこなっています。上部・下部消化管出血では、抗血栓薬内服中のために止血に難渋することもありますが、様々な止血法を駆使した内視鏡的止血術により外科的手術の回避を可能な限り目指しています。食道・胃・大腸早期癌に対し内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、大腸癌死亡率・罹患率低下効果のある内視鏡的大腸腺腫ポリープ切除(EMRやCSP)を積極的に行っています。その他、消化管狭窄に対するステント留置やバルン拡張法、肝がん治療では手術困難な例に経皮的ラジオ波焼却療法や肝動脈塞栓療法、経口摂取困難例に対し内視鏡的胃瘻増設もおこなっています。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの) 152 1.20 2.24 0.00 67.27
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他のもの) 85 1.75 1.67 0.00 67.84
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極の場合) 48 2.46 8.88 0.00 78.27
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞に対するもの) 38 0.03 14.47 5.26 69.18
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他のもの) 32 1.97 4.25 3.13 65.56
 当科の昨年度(令和元年度)の主な診療実績は以下のとおりです。冠動脈造影検査 446例、経皮的冠動脈血管形成術(PCI) 192例, 緊急PCI 65例、末梢血管形成術 8例 、ペースメーカー移植術 新規55例 交換21例 、植え込み除細動器(ICD)移植術 新規4例 交換6例、心臓再同期治療(CRT) 3例 、経皮的カテーテル心筋焼灼術(アブレーション) 187例。
 急性心筋梗塞に対しては、搬送来院から閉塞冠動脈の再開通まで90分以内を目標に治療を行っています。心房細動に対するカテーテルアブレーションの件数が増加し、アブレーション187例中140例が心房細動によるものでした。心房細動に対するカテーテルアブレーションは、平成17年1月より開始し、令和元年5月の時点で1000例となりました。クライオ(冷凍凝固)アブレーションや、ホットバルーンによるアブレーションも導入し行っています。予定治療では、前日に入院、ステント留置では治療翌日に退院、カテーテルアブレーションでは治療の翌々日に退院の予定で行っています。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7151 腸重積症整復術(非観血的なもの) - - - - -
K4263 口唇裂形成手術(片側)(鼻腔底形成を伴う場合) - - - - -
K4002 喉頭形成手術(筋弁転位術) - - - - -
K6262 リンパ節摘出術(長径3センチメートル以上) - - - - -
K179 髄液漏閉鎖術 - - - - -
 小児科で診療する疾患の多くは、輸液や抗菌剤投与などによる内科的治療で軽快しますが、一部の患者さんでは、耳鼻科、外科、脳外科などの先生方と共同で手術を必要とする患者さんを診療します。その中で多いのが腸重積症整復術です。腸重積症は、乳幼児期に、小腸が大腸の中に潜り込むことにより腸管の血流障害が生じて、ひどい腹痛や血便などの症状が出る病気です。治療は、肛門から入れたカテーテルを通して、造影剤や空気などを大腸に流し込み、圧力で潜り込んだ小腸を押し戻します。
リウマチ科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル未満) - - - - -
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(大腿) - - - - -
K0493 骨部分切除術(指) - - - - -
K6262 リンパ節摘出術(長径3センチメートル以上) - - - - -
K089 爪甲除去術 - - - - -
 リウマチ性多発筋痛症、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎/多発性筋炎、血管炎症候群、成人発症スティル病など重篤な臓器病変を伴い、日常生活が急激に困難となる全身性自己免疫疾患や関節リウマチの症例が急性期の入院として多いです。関節リウマチの入院症例は平均年齢が高く、感染などの様々な合併症を有し、独居での生活ができない、ADLが低下して自宅での介護が困難などで入院となるケースも増えています。全身性自己免疫疾患で臓器病変が進行した症例では数週間にわたる免疫抑制治療を要し、また、合併症や副作用が出現した場合は他科併診による精査加療が必要です。さらに自宅での生活が可能になるまでのリハビリ、介護保険の申請と手配、施設や後方病院探しなどにも時間を要するため入院日数が長くなりがちです。浜松市内には関節リウマチや全身性自己免疫疾患の入院できる病院が少ないため、急性期だけでなく慢性期合併症発症時の入院も当科の役割と考えています。
消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 ヘルニア手術(鼠径ヘルニア) 93 0.94 1.37 1.08 70.17
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 74 2.01 4.24 1.35 58.49
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 51 0.71 3.14 0.00 34.76
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 44 3.70 11.84 0.00 71.30
K718-22 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴うもの) 15 2.33 5.27 0.00 47.80
 消化器外科では、患者さんとそのご家族に納得のいく説明を行い、合併症の少ない手術を施行し、適切な化学療法を行い、良好な治療成績をあげることを目指しています。また、開業医の先生よりご紹介いただいた救急患者さんを「ことわらない」をモットーに365日緊急手術が行える体制をとっています。年間の手術総数は713件あり、この内緊急手術が18%を占めています。悪性疾患では大腸癌(結腸癌+直腸癌)切除が75件(腹腔鏡補助下切除が45件)で、胃癌切除が31件です。肝胆膵領域の癌切除は合わせて40件となっています。
 良性疾患では、皮下埋め込み式ポート留置術110件、鼠径部のヘルニア(大腿ヘルニアを含む)94件、胆嚢摘出術 925件(腹腔鏡下切除が809件)、虫垂切除術 54件、腸閉塞手術25例、その他の疾患では小腸癌、GIST、後腹膜肉腫、胃十二指腸潰瘍穿孔、良性の腸疾患(結腸穿孔、捻転、憩室など)、鼠径部以外のヘルニア、肛門疾患、外傷などがあります。当科の特徴は胆摘、胃切除術や大腸切除術に腹腔鏡下手術を積極的に導入していること、原発性、転移性肝癌に積極的に肝切除術を施行していること、胆管癌、胆嚢癌、膵癌に対しては血行再建を伴う拡大手術を行っていること、急性胆嚢炎に対する緊急ラパコレ施行などです。
乳腺外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)) 47 1.15 2.04 0.00 60.19
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)) 37 1.00 6.14 0.00 66.46
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの) 19 1.00 8.42 0.00 60.32
K4741 乳腺腫瘍摘出術(長径5センチメートル未満) - - - - -
K0461 骨折観血的手術(大腿) - - - - -
 乳房の良性腫瘍に対しては乳腺腫瘍摘出術を行います。多くは局所麻酔で行われますが、腫瘍が大きい、または患者さんの希望に応じて全身麻酔下で行われることもあります。乳腺腫瘍摘出術は手術翌日に退院できます。また希望のある方は手術当日に入院することもできます。乳腺疾患は若い方から高齢の方まで幅広い年齢で発症し、患者さんによって生活スタイルや要望は様々です。当科では患者さんの希望を聞きながらそれぞれに合った治療計画を考えていくことを大切にしています。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの) 21 2.95 8.19 0.00 72.62
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 19 2.63 7.37 0.00 71.95
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの)) 16 3.63 2.25 0.00 32.81
K5132 胸腔鏡下肺切除術(その他のもの) - - - - -
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) - - - - -
 手術症例で最も多い症例は原発性肺癌です。手術は胸腔鏡補助下に小開胸で行うことがほとんどですが、症例によっては完全胸腔鏡下で行い、胸壁の筋肉切離は最小限としています。標準術式は肺葉切除+縦隔リンパ節郭清ですが、早期の肺癌では縮小手術(肺区域切除、肺部分切除)を行うこともあります。また局所進行肺癌に対しては周囲臓器の合併切除やより広範囲のリンパ節郭清を行うこともあります。高齢者やハイリスク症例では標準術式ではなく縮小手術も考慮します。原発性肺癌の術後入院期間は約10日です。
 2番目に多い自然気胸では胸腔鏡下で肺嚢胞切除を行い、再発予防のために肺切除周囲を吸収性フェルトで被覆しています。若年者の自然気胸の場合、術後入院期間は2-3日です。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 等 55 0.31 5.47 12.73 79.64
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 17 0.82 39.94 41.18 60.24
K1742 水頭症手術(シャント手術) 17 21.24 23.18 47.06 73.76
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他のもの) 15 9.47 100.20 20.00 69.20
K189 脊髄ドレナージ術 12 4.08 4.00 8.33 78.92
 脳神経外科の手術でも最も多いものは慢性硬膜下血腫です。軽微な外傷の後1ヶ月程度経った際脳の表面に血腫がたまる病気です。局所麻酔による穿頭洗浄術と言う比較的簡単な手術で劇的に良くなります。当科では3日間の短期間入院で治療しています。
 次に多いものは水頭症に対する手術です。水頭症はクモ膜下出血に伴うものと原因不明の高齢者に多い正常圧水頭症が有ります。くも膜下出血に伴う場合は脳室腹腔短絡術を選択することが多く正常圧水頭症では腰椎腹腔短絡術を選択することが多くなっています。正常圧水頭症の診断のために脊髄ドレナージを行っています。
 次に多いものは脳動脈瘤のクリッピング術です。脳動脈瘤破裂に伴うクモ膜下出血および脳ドックなどで発見された未破裂脳動脈瘤に対する手術です。当科では血管内手術によるコイル塞栓術も行っています。脳動脈瘤の性状や患者さんの状態にあわせて最善の治療方法を選択しています。その他脳腫瘍の手術も積極的に行っています。手術の際は各種のモニタリングを行い安全な手術を心掛けています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 等 163 2.69 17.88 54.60 80.11
K0821 人工関節置換術(股) 等 151 1.42 17.39 3.31 68.72
K0811 人工骨頭挿入術(股) 75 5.97 19.05 73.33 80.85
K0462 骨折観血的手術(前腕) 等 67 2.19 5.81 11.94 55.90
K0483 骨内異物(挿入物を含む。)除去術(前腕) 等 56 0.89 1.80 0.00 50.64
 2019年度の浜松医療センター整形外科の総手術件数は1071件です。下肢関節再建・人工関節センターが設置され下肢関節に対する人工関節置換術を中心として専門性の高い手術治療が実施されています。特に股関節疾患に対する専門的治療を得意としていることから人工股関節置換術・再置換術の手術件数が124件と多数を占め、人工膝関節置換術などの下肢関節の人工関節置換術関連で160件を超える手術を実施しており人工関節置換術に関する手術室整備やリハビリテーション体制にも専門性を高めるようにしています。
 四肢の骨折に対する手術的治療も整形外科の重要な診療項目ですが大腿骨近位部骨折などに対する大腿骨骨折関連の骨折観血的手術が163件、大腿骨頸部骨折に対する人工骨頭挿入術が75件と両者の合計が238件となり骨折部位別の手術件数としては大腿骨の骨折に関する手術件数が最多となっております。また、高齢者が転倒して手をつくような機転で発生する撓骨遠位端骨折などの前腕骨の骨折に対する手術も多数行われています。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K552-22 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)(2吻合以上のもの) 16 3.81 16.00 0.00 64.13
K5541 弁形成術(1弁のもの) 11 9.18 26.55 18.18 74.91
K5603イ 大動脈瘤切除術(上行・弓部同時)(弁置換術又は形成術) - - - - -
K5612イ ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) - - - - -
K5551 弁置換術(1弁のもの) - - - - -
 令和元年度当科の手術件数は85例で、冠動脈バイパス術が16例(うち人工心肺装置を使用しない心拍動下冠動脈バイパス術が16件)、弁膜症手術15件(うち弁形成手術11例)、急性大動脈解離や胸部大動脈瘤に対する手術19件(うちステントグラフト留置術7例)、狭心症などの虚血性心疾患に対する心拍動下冠動脈バイパス術の利点は、体外循環装置の使用に起因する脳梗塞などの合併症の回避、速やかな術後回復、輸血率の低減などが挙げられます。当科では2010年より心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)を第1選択とする方針で取り組んでおり、重症多枝病変に対してもOPCABで完全血行再建を行い、極めて良好な成績を得ています。低侵襲手術を積極的に導入した結果と考えています。心臓弁膜症に対する手術では僧帽弁閉鎖疾患に対しては自己弁を温存する形成術を積極的におこなっています。胸部大動脈疾患に対しても積極的にステントグラフト内挿術を行っております。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0841 四肢切断術(下腿) 等 13 15.23 45.00 46.15 70.62
K0842 四肢切断術(指)(足) 等 - - - - -
K013-22 全層植皮術(25以上100未満) - - - - -
K427 頬骨骨折観血的整復術 - - - - -
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) - - - - -
 形成外科の手術で最も多いのが、皮膚腫瘍の手術です。体表の腫瘍を切除すると、皮膚の欠損ができます。単純に縫合することが可能であればよいのですが、範囲が広い場合は何らかの方法でその欠損を閉じなければならず、皮膚移植や皮弁術といった形成外科特有の手技を駆使して治療にあたります。また、悪性腫瘍はリンパ節転移や血行性転移を起こすこともあり、大学病院と連携しながら適切に対応しています。また、皮膚の良性腫瘍も大きさや部位によっては形成外科的な手技が必要になります。
 乳腺外科と合同で乳房再建も施行しております。乳癌切除と同時または後日に人工物(ティッシュエクスパンダ―、シリコンインプラント)を用いた再建または自家組織(広背筋、腹直筋、脂肪移植)を用いた再建も行っております。癌の治療、整容面での改善をチーム医療で行います。
四肢の切断術も比較的多い手術です。高齢化や糖尿病などの基礎疾患などで、血管が悪くなっている患者が増えています。そのため、少しの傷でも治りが悪くなります。症例によっては血管バイパス手術を血管外科に行ってもらい、可能な限り四肢を温存する方針をとりますが、治療に難渋し、感染の増悪により全身状態に影響を及ぼすと判断した場合は切断を行うことがあります。切断後はリハビリ科協力のもと、筋力の維持や装具の作成等を行っています。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 104 4.61 5.98 0.00 33.43
K877 子宮全摘術 55 1.40 6.18 0.00 51.38
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 40 7.65 6.60 0.00 32.78
K867 子宮頸部(腟部)切除術 25 1.00 1.92 0.00 41.92
K9091ロ 流産手術(妊娠11週までの場合)(その他のもの) 22 1.09 0.00 0.00 34.64
 産婦人科で最も多い手術が帝王切開術です。選択帝王切開は前回の分娩が帝王切開分娩であるため今回も帝王切開を行う症例や骨盤位などで予定を決めて行う症例の帝王切開です。緊急帝王切開は予定の症例が何らかの理由で急いで行わなければならなくなった場合、母体搬送や早産の症例のように母児の緊急状態、さらに分娩経過中に母児の状態に異常がみられたために行う場合があります。
 婦人科手術で多いのは子宮平滑筋腫など良性疾患が原因で行われる子宮全摘術です。次に多い子宮頚部切除術は妊孕性を保つために主に若年層に行われる子宮頸がんの手術です。前癌病変や0期に対して行われますが若年層に子宮頸がんが増加していることに関連していると考えられます。
新生児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9132 新生児仮死蘇生術(仮死第2度のもの) - - - - -
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度のもの) - - - - -
- - - - - - -
- - - - - - -
- - - - - - -
 当院には小児外科の常勤医がいません。そのため外科的な処置が必要になった時には浜松医大小児外科に応援を頼むことが多いです。当院で検査、治療(手術など)を行うこともありますし、他の病院へお子さんを手術目的で搬送することもあります。
 未熟網膜症は早産のお子さんに多い目の病気ですが、その治療としてレーザー凝固術を行うことがあります。
 水頭症のお子さんに対しては脳室ドレナージ術、脳室―腹腔シャント術など当院脳神経外科により行います。その他気管切開術なども行うことがあります。
 手術別患者数で1,2番目に多いのは、分娩時の児の蘇生です。仮死1度、2度の違いは出生したお子さんの状態によって分けられています。これは手術に分類されてはいますが、実際は新生児科医師により、速やかに蘇生が行われています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) 609 0.99 1.07 0.00 74.79
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含むもの) 67 0.85 2.88 0.00 67.25
K2682 緑内障手術(流出路再建術) 53 0.32 2.70 0.00 69.47
K2683 緑内障手術(濾過手術) 41 0.00 4.61 0.00 69.24
K279 硝子体切除術 11 0.91 1.27 0.00 72.55
 当科では白内障手術が大多数を占めています。硝子体手術も可能なため、水晶体脱臼・眼内レンズ脱臼を含め、眼内レンズの強膜内固定にも対応しています。白内障手術に続いて緑内障手術が多く、流出路再建術、濾過手術、エクスプレスいずれにも対応しています。中でもMIGSと呼ばれる低侵襲・短時間の緑内障手術の件数が近年増加傾向にあります。硝子体手術の件数も年々増加しており、網膜前膜や黄斑円孔、糖尿病網膜症の他に、網膜剥離や眼球破裂といった緊急を要する疾患にも対応可能です。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 等 86 1.03 7.30 0.00 15.90
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 42 0.93 5.71 0.00 54.71
K3192 鼓室形成手術(耳小骨再建術) 31 1.00 4.06 0.00 46.45
K3191 鼓室形成手術(耳小骨温存術) 29 0.86 2.97 0.00 45.83
K347 鼻中隔矯正術 23 1.00 6.26 0.00 39.74
 手術は多くが全身麻酔下で行うものとなります。当科の特徴は鼻科手術と耳科手術の割合が高いことです。鼻科手術では、喘息などの気道合併症を持つ患者さんが多くいるので、周術期の管理には十分注意を払っています。、出血や痛みができるだけ少なくなるように工夫しています。術後の薬物治療や創部のケアが重要となるため、その点も十分指導するように努めています。
 当科併設の中耳手術センターでは、真珠腫、慢性中耳炎など多くの耳科手術を行っていますが、創部が早期に上皮化し、ケアフリーとなるような術後形態になることを重視しています。術後の長期管理が必要な場合は、かかりつけ医と連携する体制を整えています。扁桃腺の手術は耳鼻科の中で最も多く行われているものですが、対象となるのは扁桃肥大、アデノイド肥大のために睡眠呼吸障害をおこす小児と、習慣性扁桃炎や扁桃肥大が原因で睡眠時無呼吸症候群となる成人で、年齢層が2相性になっています。その他、甲状腺、耳下腺、顎下腺などの頚部腫瘍手術を含め、クリニカルパスの適用症例が大多数で、術後合併症を引き起こすケースは少なく、ほとんどの症例は予定通りの経過となります。前日入院、術後は患者さんの希望を加味しながら3~7日程度で退院となります。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) 71 1.51 4.69 0.00 76.73
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザーによるもの) 45 4.02 5.62 2.22 66.31
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 29 0.72 6.66 3.45 71.10
K8411 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用のもの) 14 1.00 7.36 0.00 69.43
K773 腎(尿管)悪性腫瘍手術 - - - - -
 2019年度の泌尿器科での手術で最も多かったのは、膀胱癌に対する経尿道的手術(切除術)でした。多くの方は入院期間4-5日程度で退院して頂いております。2番目は尿管結石に対する砕石術でした。尿道から細いカメラを挿入し結石を砕石するため体に傷をつけることなく施行可能で熱発などなければ多くは入院期間が4-5日程度で退院可能ですが結石性腎盂腎炎後の砕石などは熱発する可能性もありある程度の入院期間が必要な場合があります。尿管ステント留置術は結石性腎盂腎炎などの際に腎臓の尿を膀胱に流す細い管(ステント)を挿入する手術で、これにより感染のコントロールを行ったり腎機能の保護を行ったりします。平成29年より腹腔鏡下腎摘除術を開始しております。通常の開腹手術に比べ身体的負担が少なく施行可能です。もちろん患者様や癌の状態により従来の開腹術がよいと判断された場合は無理に腹腔鏡下手術にこだわることなく開腹術を勧めさせていただく場合もあります。
血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 57 0.89 1.00 0.00 65.14
K610-3 内シャント設置術 47 0.98 2.85 2.13 68.04
K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 31 0.52 1.39 6.45 71.06
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 22 2.23 6.77 18.18 76.95
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) 20 2.70 15.35 10.00 73.45
 当院では下肢静脈瘤血管内焼灼術に対して、1470nmのレーザー機器を使用しており、症例数も増加傾向です。当科で行う内シャント設置術はそのほとんどが閉塞した症例など緊急で紹介を受けた症例ですが、平均術前日数は0.98日と短くなっています。これは閉塞した症例でもなるべくカテーテルによる透析を回避すべく、準緊急で手術を行っているためです。術後も穿刺が可能であれば早期に退院していますので、術後の在院日数も2.85日となっています。経皮的シャント拡張術は入院当日に施行することも多く、術前日数は0.52日であり、術後も早期に退院されるので、術後日数も1.39日となっています。他院に入院して透析をされている方もいるため、転院率は6.45%となっています。四肢の血管拡張術・血栓除去術は閉塞性動脈硬化症に対する治療として行っております。足の切断などにより転院となる方が多くみられます。血管移植術・バイパス移植術は閉塞性動脈硬化症の方や自己の静脈が乏しい透析患者さんのバスキュラーアクセスとして施行しています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 24 0.18
異なる - -
180010 敗血症 同一 65 0.50
異なる 14 0.11
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 84 0.64
異なる - -
 当院は、合併症を起こさないような細心の注意を払い、手術、処置などを実施しています。
更新履歴
2020.9.30